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オズの木挽きの馬

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第四幕その六

「採れたての柿は宮殿では食べられないんだ」
「どうしてもね」
「それで一個丸ごともだね」
「私のお城ではね」
「食べられないんだね」
「少なくとも私はね」
「柿でも林檎でも一個丸ごとが一番美味しいと思うけれど」
 そうして食べることがというのです。
「それがないんだね」
「そうなの」
 どうしてもというのです。
「時々そうしたくても」
「切られて出されるんだね」
「ええ、それがお城の決まりで」
 それでというのです。
「そうなっているのよ」
「また変わった決まりだね」
「変えるべきかしら」
「食べたい様に食べたらいいよ」
 これがモジャボロの提案でした。
「やっぱりね」
「そうよね」
「だからね」
「お城でも」
「その時にね」
 食べる時にというのです。
「お料理をする人に言って」
「そのうえで」
「そう、そのままで食べたい時は食べればいいよ」
「それじゃあそうするわね」
「その様にね、しかし宮殿はそれぞれ何かと決まりがあるね」
 このことをです、モジャボロは今実感しました。
「本当に」
「そうですね、オズマ姫の王宮でも決まりがありますし」
「自由な様でね」
「細かい決まりがありますね」
「どうしてもね」
「それも宮殿なんですね」
「うん、法律とは別にね」
 モジャボロは恵梨香にお話しました。
「決まりがあるのが世の中だけれど」
「オズマ姫の宮殿もそうで」
「そしてグリンダさんの宮殿でもね」
「そのことは同じなんですね」
「けれど決まりは変えられるから」
「変えるべきものは変えればいいですね」
「そうだよ」 
 こう恵梨香に言いました。
「そうすればね」
「そうですか」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「グリンダさんもだよ」
「決まりがどうかってなったら変えるといいんですね」
「そうだよ、自然と決まりが出来ることもあるけれど」
「そうした決まりもですね」
「変えればいいんだ」
「そういうことですね」
「うん、だから柿も」
 そして他の果物もというのです。
「切って食べたい時は切ってね」
「そのまま食べたい時はですね」
「そのままでいいんだよ」
「そういうことですね」
「そうだよ、しかしこの柿は美味しいね」
 モジャボロは二つ目の柿を食べつつこうも言いました。
「甘くて歯ざわりもよくて」
「そうですよね」
「これは美味しいよ」
「はい、私柿は元々好きですが」
 恵梨香もその柿を食べつつ言います。
「この木の柿は特にです」
「美味しいね」
「本当に」
「しかも取ったらそこからまた新しい実が出て来るから」
 弟さんも食べながら言います。 
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