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召喚されし帝国

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プロローグ
  プロローグ

何処かの空間

「それでは新き良い人生を」

この謎の空間の主人である、人間が言うところの神様はそう言うと、先ほど死んだ一人の人間に特典を与え別の世界へと転生させた。

「しかし、毎回毎回死んだ人間を転生して、結局転生させた人間は異世界でハーレム築いたり、勇者になったり、転生させる人間も冴えない学生やオタクなど。何か、最近ワンパターンで面白みに欠けるな‥折角チート能力を与えて転生させたのだからもう少し面白い事を異世界でやってもらいたいものだ…」

神はそう言うとその空間の床に寝転び、自分の能力でポテチを召喚し食べた。

するとその時その神の頭にある面白いアイディアが生まれた。

「そうだ…死んだ人間、つまり滅びた人間の魂を異世界に転生させる事がOKなら、他の滅びた存在を転生させても良いかもしれないな…例えば、滅びた国家なんかを異世界に転生させてみたら面白い事になるかもしれない」

そう言うと神は早速行動を始め、まず転生者が行く異世界を決めるくじ引きの箱から一枚のくじを引いた。

「転生先は…ゼロの使い魔の世界…ハーレム物の定番だな…さて、あとは転生させる国家はどれがいいかな…」

そう言うとその神は大量の資料を読み、そしてその中からある一つの国家に目をつけた。

「よし、この国家にしてみるか、ふっ、面白いことになりそうだ…」

神が選んだその国とは、何とよりにもよって1944年6月4日、ノルマンディ上陸作戦二日前のナチスドイツ、又の名をドイツ第三帝国であった。

「あとは転生特典だが…独ソ戦で損失した全戦力と兵員を転生と同時に復活、そしてチェコスロバキアで死んだハイドリヒを含め1941年〜1944年までに病死や事故死以外の戦死や暗殺で死んだナチス幹部や軍人も何人か復活させる…後、死んでなくても捕虜になっている軍人も全員異世界行きと、そして爆撃などで破壊された全ての街は異世界転生と同時に元通りすると…よし、これくらいでいいかそれじゃあ!」

神様がそう言うと同時に、謎の空間に今までにない巨大な転生魔法陣を発生させ、準備をはじめた。



そして時と場所は変わり

1944年6月4日

フランス

ラ・ロシュ・ギュイヨン村B軍集団司令部

「閣下、最新の気象予報です」

「うむ、ご苦労…成る程、しばらく悪天候が続き天候が安定するのは来月の7月までか…これなら連合軍の上陸作戦は、少なくとも来月までは、無いと見ても良いな」

B軍集団総司令官であり、かつてアフリカ戦線で砂漠の狐と恐れられた第三帝国の英雄、エルヴィン・ロンメル元帥は将校の一人から渡された天気予報が記載された書類を受け取りその内容に満足した様子でそう言った。

その日フランスには大風が吹き、波が比較的立つなど、お世辞にも天候が良くなく、いや悪いと言っても過言ではなく、しかもこの様子がしばらく続くと書いてあった。

その為ロンメル元帥は、しばらく連合軍の大規模作戦は無いと判断し、これなら愛する妻の誕生日を本国に帰ってゆっくり祝えると思い内心喜んでいた。

「おはようございます閣下」

「あぁ、シュパイデル中将おはよう」

するとそこに、B軍集団参謀長であるハンス・シュパイデル中将が現れた。

「これから休暇ですか?」

「あぁ、気象予報の結果、この悪天候は暫く続くとのことだからな、常識的に考えて天候が安定する来月まで連合軍の上陸作戦は無いとみて良いだろう。私はこれからパリに行って妻の誕生日プレゼントを購入して来る。留守中、私が帰って来るまで暫く頼むぞ」

「はい、承知しました。道中お気をつけて」

ロンメルはシュパイデルにそう言うと、車に乗りパリへと向かって行った。

その夜

ベルリン

総統官邸

第三帝国政軍の中枢であり、独裁者アドルフ・ヒトラーの仕事場である総統官邸では、ヒトラーが重苦しい様子でヨーロッパの地図を睨みつけていた。

同盟国イタリアには連合軍が上陸し、東部戦線は膠着しているものの、スターリングラードの戦いで敗北してからと言うもの、戦況は明らかに劣勢。しかも、そんな情勢の中、ドイツ占領地ではレジスタンス活動が活発化し始めているなど、どんどんと祖国ドイツが破滅へと向かっているのをヒトラーは感じ取っていた。

「何とかせねばならない…少なくとも天候が安定すると予測されている、来月に行われる可能性が高い連合軍による、フランスへの上陸作戦は何としてでも阻止せねば。でなければ‥」

ヒトラーはそう呟くと睡眠薬を飲み就寝した。

そしてヒトラーが眠りについたその直後、ヨーロッパは謎の光に包まれ、そして光が収まる頃にはフランス、ドイツ、ポーランド、バルカン半島、ノルウェーなど、ヨーロッパの大部分がこの世から永久に消滅した。


謎の空間

「おぉ、上手くいったな。さて、第三帝国は原作開始の4年前くらいに飛ばしたが、果たしてどんな活躍を見せるものか…しかし、ナチスドイツだけを飛ばすのは少し面白みに欠けるかもしれないな…魔法が存在しているとは言え、ゼロの使い魔の世界は、中世レベルの文明しか持たない国家しかない世界…そんな世界だと、ドイツ軍の無双で終わってしまいそうだからな…そうだ、いい事を考えた」

そう言うと、神は少し笑いながらまた新たに何かを始めた。
 

  
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