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身体が弱くてもいい

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第二章

「本人いえ本犬の責任じゃないのに」
「そうですよね」
「それがあの人にはわからないんですね」
「そうみたいで」
「そうですか、あの人は本当に」
「酷い人ですね」
「全くです、この娘達は僕が引き取りましょうか」
 大輔はボランティアの人に申し出た。
「そうしましょうか」
「そうしてくれますか」
「ここで会ったのも縁でしょうし」
 それでというのだ。
「それなら」
「そうしてくれますか」
「はい、それじゃあ」
「宜しくお願いします」
「一緒にうちに行こう」
 大輔は今度は犬達に言った。
「今からね」
「クゥ~~ン・・・・・・」 
 ココが力なく鳴いた、大輔はその彼女とモモを家に連れて帰った。そのうえで家に前からいる猫達と共にだった。
 二匹を飼いはじめた、ココは最初の頃彼にも彼の家族にも怯えきっていて。
 ご飯をあげて食べられる量が少ないと縮こまって震えた、モモはその彼女の前に立って守ろうとするが。
 大輔はその二匹に優しい声で言った。
「自分のペースで食べればいいよ」
「ワン?」
「クウン?」
 二匹共大輔の言葉に驚いた、だが。
 大輔はココがあまり食べなくてもあまり動けなくても怒らなかった。それどころか。
「犬用のミルクをですか」
「ココにあげています」
 ボランティアの人に話した。
「そうしています」
「ご飯をあまり食べられないからですね」
「はい」
 だからだというのだ。
「そうしています」
「そうですか」
「ミルクは身体に凄くいいですし」
「水分ですし」
「あれなら食欲なくても飲めますね」
「はい」
 その通りだとだ、ボランティアの人も答えた。
「そのことは」
「ですから」
 それでというのだ。
「ミルクをあげる様にしました、そして」
「飲んでもらってですね」
「少しずつです」
「丈夫になってもらいますか」
「そう考えています」
「それはいいことですね」
 ボランティアの人は大輔の言葉に微笑んで答えた。
「是非です」
「ミルクをあげるべきですね」
「あの娘の為にもいいです」
「それじゃあこれからも」
「あの娘達をお願いします」
 ボランティアの人は大輔に笑顔で言った、そして。
 実際に大輔はココにミルクをあげ続けた、ココはミルクならいつも飲むことが出来た。そしてミルクを飲むうちに。
 少しずつだが丈夫になってきた、そうして食べる量も増えて動く量もそうなってモモと共にだった。 
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