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高コスト

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第五章

「あの人はね」
「本当に学者かどうか」
「本気で疑っているよ」
「元大学教授でしたね」
「それで国会議員だったこともあるけれど」
「政治家としても」
「やはり見識を疑うよ」
 そこまで考えてしまうというのだ。
「もう何十年も論破され続けてその主張を変えないし」
「国防のことでも他のことでも」
「本当に学者なのか」
「疑わしいと」
「我が国はああした人でも学者になれるのかな」
 大泉は真剣に疑っている顔で首を傾げさせて言った。
「そうだとするとね」
「我が国の学者のレベルは低いですね」
「あれなら誰でも出来るよ」 
 その女性学者が学者として通用するならというのだ。
「もうね」
「そうですね」
「本当にね、けれど兵器に話を戻すと」
「兵器は必要ですね」
「冷戦の頃の野党みたいなことを言ったら」
 まさにその非武装中立である。
「平和憲法を信じてとか」
「何にもなりませんね」
「現実はね」
「やはり国防は必要ですね」
「兵器もね、そもそも自衛隊がないと」
 大泉は現実のことをさらに話していった。
「災害の時どうするか」
「自衛が一番助けてくれますからね」
「人も組織もしっかりしているからね」
 だからだというのだ。
「もうね」
「自衛隊なくしては」
「災害が起こった時も大変だよ」
「他の組織やボランティアではとても足りないですね」
「警察や消防隊でもね」
「そこも無視して言うと」
「日本は災害が多い国だよ」
 大泉はこの現実のことも指摘した。
「地震に台風、雷とね」
「洪水もありますね」
「これだけ災害が多い国なのに」
「自衛隊が存在しないと」
「どうにもならないよ」
「それが現実ですね」
「そして兵器もね、災害の時も使う兵器はあるし」 
 大泉は確かな顔でさらに話した。
「ヘリも艦艇も特殊な車両も」
「使えるものは全部使って救助活動にあたるので」
「戦車や戦闘機は使わなくても」
 それでもというのだ。
「沢山のご飯を炊く車両も輸送機も使うよ」
「左様ですね」
「海上自衛隊の艦艇に物資を搭載して海から届けたりもするし」
「艦艇の中で傷付いた人を治療したりもします」
「だから兵器は必要なんだ」
「どうしてもですね」
「そう、そして自衛隊を嫌いな人で不思議なのは」
 大泉はここでもどうかという顔で首を傾げさせて言った。
「何で自衛隊を批判して北朝鮮とかはいいのかな」
「あの国はもうそれこそ」
「自衛隊なんて比べものにならない軍隊だよ」
「あの国の規模を考えると」
「核兵器も持ってるし」
 国際法を一切無視して開発したものだ。
「国民皆兵制と言っていいし」
「無茶苦茶ですね」
「また自衛隊を批判する人はまず確実に戦前の日本や皇室も批判するけれど」
「そのこともですね」
「北朝鮮と戦前の日本を比べても」
 それこそというのだ。 
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