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捨て犬の真実

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第三章

 夏馬にだ、こう切り出した。
「若しよかったら。一月保護してもらいましたし今も懐いてくれていますし」
「うちで、ですか」
「引き取ってくれませんか」
 こう言うのだった。
「そうしてくれませんか」
「いいんですか?」
「お願いします」
 これが彼の返事だった。夏馬を見て尻尾を振っているポチ太を見ての言葉だ。
「妻には怯えていましたが貴方には懐いてくれていますし」
「それで、ですか」
「お願い出来ますか」
「そうしていいんですね」
「はい」
「それじゃあ詳しいお話を」
「しましょう」
 こうして両方の家族単位での話となってだった。
 ポチ太は萩原家に入って引き取られることになった、そのポチ太今は庭で遊んでいる彼を縁側で見つつ。
 夏馬は一緒にいる両親にこう話した。
「うちに戻って来たっていうのかな」
「そうだな」
「そうなるわね」
「ああ、しかしあの女の人は」
 その彼女のことも話した。
「随分とな」
「やっぱり酷い人だったな」
「そうみたいね」
「ああ、そんな人だからポチ太も怯えていて」
 そしてというのだ。
「不倫もするんだな」
「そうした人だからな」
「そうしていたのね」
「けれどな」
 それでもとだ、息子はこうも言った。
「報いを受けたな」
「離婚して慰謝料支払わさせられて」
 それでとだ、母は述べた。
「もうね」
「自業自得だよな」
「そう思うわ、お母さんも」
「そうだよな」
「悪い人はね」
「報いを受けるよな」
「そうなるわね」
「だよな、けれど俺達はな」
 夏馬はポチ太を見ながら話した。
「戻ってくれたポチ太とな」
「ああ、一緒にな」
「暮らしていきましょう」
「そうしような」
 こう言ってだった、夏馬は立ち上がってポチ太のところに行って彼と遊びはじめた。両親もその中に入って一家で楽しい時間を過ごした。ポチ太はその間ずっと楽しそうに尻尾を振っていた。


捨て犬の真実   完


                   2020・8・24 
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