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オズのケーキ

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第八幕その五

「人なら」
「間違えない人はいない、ですね」
「そう、そんな人はいないでしょ」
「その通りですね」
「けれど間違いに気付くか間違える気持ちが消えて」
 そうなってというのです。
「行いがあらたまったらね」
「それで、ですか」
「いいんじゃないかしら」
「だからですか」
「そう、それでね」
「今のラゲドーさんもですか」
「警戒することはね」
 かつて何度もオズの国を脅かしたけれど、というのです。
「今のあの人は別人だから」
「警戒せずに」
「この国に来てもね」
「お迎えすべきですか」
「笑顔でね」
「その通りじゃ、わしなぞじゃ」
 リンキティンク王も言いました。
「いつも間違えてな」
「大臣の人に怒られていますよね」
 王子がその王様に言います。
「何かと」
「そうじゃ、王様だって間違えるのじゃ」
「それで、ですね」
「誰もが間違える、しかしな」
「人はその行いをあらためられますね」
「わしも少しはそうなっておるぞ」
 リンキティンク王ご自身が思うにはです。
「だからな」
「過去の間違いを絶対にしないことですね」
「左様じゃ」
 そうあるべきだとです、王様も門番さんにお話します。
「このまま来てもな」
「言われてみますと」
 門番さんもここで頷きました、そしてです。
 落ち着いてです、こう言いました。
「では」
「そうするのう」
「はい、お客さんとして」
 門番さんも頷きました、そうしてです。
 ラゲドーを待っているとでした、遂に門のところに来てそうしてこう言ってきました。
「おや、アン王女ではないか」
「お久し振りね」
 王女はラゲドーに笑顔で応えました。
「お元気そうね」
「この通りな」
「私達は今フェアリーの国に来てるの」
「そうなのか」
「それで貴方は」
「わしは少し旅に出たくなてな」
「それでなのね」
「こうしてな」
 今の様にというのです。
「ここに来たのじゃ」
「目的地は何処かしら」
「ははは、適当にふらりとな」
 そうして出ているだけとです、ラゲドーは笑って答えました。
「出ただけで」
「何処に行くかということはなのね」
「決めてなくてな」
 それでというのです。
「ここに来たのもな」
「このこともなのね」
「ふらりとでな」
 それでというのです。
「また何処かに行く」
「そうなのね」
「それでフェアリーの国にな」
「私達がどうしているか」
「それはどうしてなのじゃ」
「実はフェアリーの女王様のお誕生日があって」
 それでとです、王女は答えました。 
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