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ダイヤモンドリング

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第一章

                ダイヤモンドリング
 津々慈友樹は恋人の杠愛生に真剣な顔で言った。
「今度行きたい場所があるけれど」
「っていうと」
 愛生は友樹の大きな眼鏡をかけた顔を見つつ言葉を返した、友樹の髪型は黒のそれをセンターにして左右と後ろは短くしている。赤い唇は薄く微笑んでいる風だ。身体つきは中肉であり眼鏡の奥の目も笑った感じだ。愛生は垂れ目で眉は細く緩いカーブになっている。唇は黄色で黒い髪を短くしている。背は一七〇で友樹より二センチ程低い。
「一体」
「この街の丘の上に行きたいんだ」
「丘っていうと」
「ピクニックだよ、今度の土曜ね」
「今度の土曜ね」
「愛生ちゃんその時部活は」 
 通っている高校では料理部の彼女に尋ねた、二人共同じ高校に通っている。
「どうかな」
「うち平日の放課後だけだから」
 部活のある時間はとだ、愛生は天文部の友樹に答えた。
「だからね」
「土曜はフリーだね」
「ええ、そうよ」
「それはよかったよ、大丈夫と思ってたけれど」
「確認取ったのね」
「そうなんだ」
 こう愛生に話した。
「実は」
「そうだったのね」
「いや、本当によかったよ」
 友樹は笑顔で言った。
「絶対に行きたかったし」
「今度の土曜は」
「そう、あの丘の上が一番いいと思うし」
「ピクニックに?」
「ピクニックだけじゃなくて」
 友樹は笑顔のままだった、その顔で愛生に話すのだった。
「もう一つ、こっちが主題だね」
「主題っていうと」
「その時にわかるよ、時間はね」
 友樹はさらに話した。
「十二時位っていうし」
「丁度お昼の時間ね」
「お昼ご飯を食べながら」
 その丘の上でというのだ。
「その時にね」
「何かあるのね」
「そうなんだ、凄いことがね」
「凄いことなの」
「この時を逃すと」
 友樹は真剣な顔になった、その顔で言うのだった。
「もう次はかなり先になる」
「そんなことなの」
「そう、だからね」
 それだけにというのだ。
「是非愛生ちゃんにね」
「土曜日になのね」
「十二時にね」
 友樹は時間のことをまた言った。
「一緒にいて見て欲しいんだ」
「見るの」
「僕と一緒にね」
「あの、友樹君って天文部だから」
 愛生はどうかという顔になって彼の部活の話をした。
「大抵夜にね」
「うん、星を見るよね」
「そうした部活よね」
「そうだよ、けれど今回はね」
「お昼なのね」
「お昼に見たいものがあって」
 そしてというのだ。
「見せたいものがあるんだ」
「そうなのね」
「だからね」
 友樹は愛生にさらに言った。 
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