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第三章

「そんな君が自信がないなんてだ」
「よくないの」
「誰でも自分が出来ることについては自信を持っていいんだ」
 村上は真美に強い声で言った。
「だからだ」
「私もなの」
「自信を持っていい、あとだ」
「あと?」
「君は実家に仕事の収入だけじゃなくユーチューブの広告収入も送っているな」
「ええ」
 真美は村上にこくりと頷いて答えた。
「合わせて十万位」
「俺達は同居しているし生活は充分出来ている」
 村上は経営に携わっていてレストランを経営している企業でも幹部待遇なので収入はかなりいい、生活費は彼が全部出している。
「だからお金には困っていないが」
「それでもなの」
「家族の君への仕打ちは知っている」
 真美は話していないがこうしたことは自然と伝わるのか噂で聞いているのだ。
「そんな家族にだ」
「仕送りする必要ないの」
「俺なら絶対にしない」
 村上は言い切った。
「間違っても」
「けれど私を育ててくれたから」
「そして今度実家に帰るんだな」
「もう何年も帰ってないし」
「それでか」
「ええ、駄目かしら」
「俺も行く」
 村上は真美に答えた。
「そうする」
「あなたもなの?」
「君を散々馬鹿にして下に見ていた家族だ」
 怒りを露わにさせての言葉だった。
「そのことを糾弾してやる」
「それは。私を育ててくれて専門学校のお金も普通に出してくれたし」
「それは親なら当然じゃないかな」
 村上の声は厳しかった。
「それよりも君を無視して見下してきた、君の才能を見付けようともしないで」
「それでなの」
「俺も行ってだ」
 そうしてというのだ。
「糾弾してやる」
「あの、私の家族だから」
 真美は村上に困った顔で話した。
「そうしたことは」
「しないで欲しいのかな」
「お願いするわ。一緒に来て欲しいけれど」
 自分を家族から守ろうとしている、その気持ちはわかるからだ。村上から見て碌でもない家族であるからだ。
「けれど」
「それでもか」
「お父さんにもお母さんにもお姉ちゃんにも何も言わないで」
「君がそこまで言うなら」
 村上も頷いた、そうしてだった。
 真美は彼と共に実家に帰った、すると。
 村上は自分達を出迎えた両親を睨んでこう言った。
「はじめまして、真美さんと貴方達のことは聞いています」
「そうですか」
「そのことは」
「それだけですがね」
「只今」
 真美が挨拶するとだった。
 両親は真美に後ろめたそうに言った。
「その、な」
「あの、真美のことずっと無視していたのに」
「散々馬鹿にしたのにな」
「仕送りまでしてもらって」
「何ていうか」
「真美には」
「俺は色々言いたいです」
 ここで村上が両親に言った。
「そうするつもりでした、ですが」
「真美がですね」
「言わない様にですね」
「言われました、ですから言いません」
 こう真美の両親に言うのだった。 
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