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玄関で待っていて

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第二章

「もう何かとね」
「可愛くてなのね」
「一緒にいるのよ。寝る時も一緒だし会社に行く時も挨拶するし」
「帰った時もよね」
「そうよ」
 その時もというのだ。
「そうしているわ」
「もう猫ライフ満喫ね」
「そうなってるわ」
 のろけさせしてだ、今日子は八重子に話した。とにかく今日子はチビとの生活を満喫していた。だが。
 ある日今日子はこの世の終わりの様な顔になって出社してきた、そしてその日ずっと沈みきっていた。
 八重子はその今日子に仕事の合間に彼女のところに来て沈んでいる理由を尋ねた。
「どうしたの?」
「昨日帰ったら戸締り忘れてて」
「泥棒に遭ったとか?」
「窓が開いててチビがそこから逃げてたの」
「泥棒とはまた違う意味で大変ね」
「ええ、何処に行ったのかしら」
 その沈みきった顔での言葉だった。
「一体」
「困ったわね」
「困ったも何も」
 それこそというのだ。
「どうしたらいいのか」
「ツイッターとかブログやってたら画像出して捜索願出して保健所にも保護されてるか聞いて」
 八重子は探し方の具体的な方法を話した。
「ご近所のスーパーとか公園の前に貼り紙させてもらって」
「探してもらうのね」
「自分が探すだけじゃなくてね」
「そうすればいいのね」
「そうしていきましょう」
「それじゃあすぐに」
「貼り紙の作り方今から教えるから」
 八重子はたまたま知っているそれも話した、今日子は八重子に言われるままだった。
 ネットでチビの画像を出して貼り紙もあちこちに貼ってだった、チビを探した。だが一ヶ月経ってもだった。
 チビは見付からない、それで心配で仕方がなかったが。
 そのチビがいなくなって一ヶ月程経ちこの日も会社帰りにチビを探してやはり見付からず項垂れて自分のマンションの部屋の前まで来ると。
「ニャア」
「えっ・・・・・・」
 玄関の前にチビがちょこんと座っていた、今日子はまさかと思ったが。
 凝視すればまさにチビだった、それでその場でチビを抱き締めて泣いて喜び彼を家に入れた。そうしてその日は久し振りにチビと楽しい時間を過ごした。 
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