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キジムナーと蛸

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第三章

「お土産も必要だな」
「魚の目玉ですね」
 与那嶺は即座にこれを出した。
「それですね」
「そうだ、わかっているな」
「といいますか」
「もう、だな」
「キジムナーといいますと」
「魚の目玉が大好物だからな」
「それですね」
 叔父に対して話した。
「やっぱり」
「いや、そのまま持って行ってもいい」
「お魚を」
「かなりの量な、そこで目もあるからな」
「だからですか」
「そのまま持って行ってもいい」
 魚自体をというのだ。
「そうすればいい」
「それなら」
「直接本人さん達に聞いてみるか」
「そうします」
 与那嶺は叔父に菓子を食べつつ答えた、サトウキビの菓子は実に甘くその甘さを堪能しながら答えた、そしてだった。
 叔父との話の後で実際にだった。
 市場で魚を多く生のまま買って家の近くの森のガジュマルの木のところに行った、そうしてその木の前で話した。
「いるかな」
「魚の匂いがするな」
「生魚のいい匂いがするな」
「お土産かい?」
「お土産なのかい?」
「君達に聞きたいことがあって来たんだ」
 与那嶺は大きなガジュマルの木の中から出て来た声達に答えた。
「それで来たんだ」
「お魚持って来てか」
「それも新鮮な生魚を」
「それでか」
「じゃあ目玉も食っていいかな」
「うん、君達にあげるから」
 その魚達をというのだ。
「だからいいかな」
「まずは魚貰おうか」
「お話はそれからだ」
「目玉も貰うぞ」
 口々に言ってきてだった。
 ガジュマルの木から小さな毛玉を思わせる者達が出て来た、それは直毛の毛玉に目鼻と口があって手足が生えている身体をしていた。
 それこそがキジムナーだった、与那嶺はその彼等を見てまずはキジムナーは子供の頃に見た図鑑の姿そのままだと思った。
 それでまずは彼等が魚特に目玉を食べるに任せた、それで一段落ついた時に彼は彼等に聞こうとしたが。
 当のキジムナー達から彼に聞いてきた。
「それで何だい?」
「おいら達に聞きたいことって」
「そりゃ何だ?」
「うん、君達はどうして蛸が嫌いなのかな」
 このことを彼等に直接訪ねた。 
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