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問題提起

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第三章

「ソ連がまずいな」
「ああ、崩壊しそうだな」
「ソ連が崩壊するとな」
「もう共産主義は終わりだ」
「我々も危うくなる」
「革新勢力はマルクス主義だ」
「そのマルクス主義の総本山が倒れるとな」 
 それこそというのだ。
「もう我々は未来を語れない」
「共産主義でそれを語れなくなる」
「そうなれば終わりだ」
「これはかなりまずい状況だ」
「ここで勢力を確保する為にはな」
「何でも出して与党や保守勢力を攻撃しろ」
「ソ連が駄目になったらだ」
 彼等は必死の声で話していた。
「もう未来は語れないんだ」
「政治も経済もな」
「社会もだ」
「それならだ」
「もう何でもいいから問題を出せ」
「でっち上げでもいい」
 事実かどうかも構わないというのだ。
「ネタに出来そうな話ならだ」
「捏造でも何でもして喧伝しろ」
「事実は捻じ曲げろ」
「そして与党や保守勢力を攻撃しろ」
「この国自体を貶めても構うな」
「このままでは我々の立場がなくなるぞ」
 だからだというのだ。
「革新勢力は今瀬戸際だ」
「本当にソ連がなくなったらまずい」
「ここは手段を選ぶな」
「嘘でも何でもいい」
「問題を出して攻撃しろ」
 こう言ってだ、その戦場の娼婦の話を持ちだし。
 他国も巻き込んで捏造をふんだんに入れて喧伝した、それも自社の雑誌や系列のテレビ局も総動員してだ。
 そうして与党や保守勢力を攻撃すると。
「何て酷いことをしたんだ!」
「当時の日本は悪魔か!」
「国家は謝罪しろ!」
「与党はどう考えてるんだ!」 
 大学教授が出した資料を記事の一面に出すと効果覿面だった。
 だが。
 その資料をしっかりと見た人達は気付いた。
「?この資料おかしいぞ」
「悪質な業者を取り締まれという文章じゃないか」
「軍の関与があったというが」
「こうした関与はむしろ良心的だろ」
「それを悪事みたいに言ってるぞ」
「これ捏造記事か?」
「それか事実を捻じ曲げた記事か?」
 気付く者は気付いた、そして。
 多くの人がこの問題について調べるとだった。
「おい、芳田青磁の発言おかしいぞ」
「こいつ調べたら嘘ばっかり言ってるぞ」
「良心の告発者じゃないぞ」
「毎朝の言ってることと全然違うぞ」
「こいつとんでもない奴じゃないのか」
「職業的詐話師じゃないのか」
「それに娼婦の人の身元おかしいぞ」
 今度はこのことが発見された。
「何で発言の度に出身地や生年、娼婦になった経緯が違うんだ?」
「こんなの間違えるか?」
「これじゃあ証言にならないぞ」
「ここまで違うとかおかしいだろ」
「毎朝の記者意図的に書き換えてないか?」
「この記者植邨とかいったな」
 記者についても調べられた。
「この記者向こうでこの問題扱ってる団体の幹部の娘さんと結婚してるぞ」
「じゃああっちの縁者か?」
「あっちに都合のいい様に生地書き換えたのか?」
「新聞記者が嘘書いたのか?」
「これとんでもないことだろ」
「いや、毎朝何かな」
 この新聞自体についても指摘された。
「嘘ばっかり書いてないか」
「そういえば教科書誤報だったな」
「平然となかったことにしてるけれどな」
「日本軍の虐殺でも嘘書いてたな」
「ああ、事実を検証しないで記事普通に載せてたな」
「誉田和一だったな」
 その虐殺を書いた記者の名前も出た。 
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