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ドアを開けてから

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第一章

               ドアを開けてから
 アメリカメリーランド州ボルチモア郊外に住んでいるジミー=フォードは妻のメアリーそして埋まればなかりの息子アリソンと幸せな家庭を築いていた、黄色に近い金髪を短く刈った明るい顔立ちの男だ、色は白く鼻は高い。背は一七六程だ。
 彼にだ、朝妻が言ってきた。赤い脇まである髪の毛の端が撥ねた栗色の鋭利な顔立ちの色白の女性で背は一六四程だ。二人共均整の取れたスタイルだ。
「ねえ、大変よ」
「どうしたんだ?卵がないのか?」
「朝食の?」
「そうか?」
「そんなの幾つもあるわよ」
 妻は夫にすぐにこう返した。
「ロッキーも出来る位にね」
「充分あるんだな」
「だから卵じゃないのよ」
「じゃあベーコンか?」
「それじゃあ朝はベーコンエッグにするわね」
 ここでメニューは決まった。
「いいわね」
「ああ、トーストとミルクも頼むな」
「トマトも出すわね」
「宜しくな、それで大変なことは何だ?」
 夫はベッドから出ながら妻に問うた。
「アリソンがどうかしたのか?」
「今はぐっすり寝てるわ」
 二人のいとし子のことでもなかった。
「別にね」
「それじゃあ何なんだ」
「犬よ」
「犬?」
「そう、犬よ」
「犬って何だ」
「リビングに来て」
「ああ、わかった」 
 夫は妻の言葉に頷き寝間着から仕事に行く服に着替えた、仕事は近所のレストランだ。結構繁盛している店を経営している。
 そこに行く前に朝食を食べるのが日課だがここでだった。
 妻に言われてリビングに彼女と一緒に行くとだった、ソファーの上に。
 垂れ耳で薄茶色の短い毛の犬がいた、まだ小さく腹と顔の真ん中に足首そして尻尾の先が白い。その犬がびしょ濡れでガタガタ震えていた。
 その犬を見てだった、夫は言った。
「何で犬が」
「あなた昨日の夜戸締りしたわよね」
「したよ」
 確かにとだ、ジミーはメアリーに答えた。
「アリソンが夜泣きしておむつ替えた時に」
「そうよね、私その後でミルクあげたけれど」
 子育ては大変だ、特に赤ちゃんのそれは。それで夫婦はおむつやミルクのことを交代で行っているのだ。
 それでだ、メアリーは話した。
「その時ドアはね」
「閉まっていたね」
「ええ、間違いないわ」
「じゃあ何でこの犬が家にいるんだ」
 首を傾げさせてだ、ジミーは言った。
「一体」
「ちょっと確かめてみましょう」
 メアリーはいぶかしむ夫にこう提案した。
「そうしましょう」
「よし、それじゃあな」
「ええ、防犯カメラをチェックしましょう」
 こうして家の玄関に置いた防犯カメラをチェックした、アメリカの治安は二人もアメリカ人だけあってわかっている、それでセットしたのだ。 
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