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声優ファン

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第一章

               声優ファン
 河田憲明はアニメやゲームが好きだ、そしてそういったものでキャラクターの声をあてている声優の人達も好きだ。
 それでアニメ雑誌やサイトだけでなく声優雑誌やサイトもチェックしている、イベントやコンサートにも行く程だ。
 それで大学のサークル、アニメ同好会でもよく声優の話で盛り上がる、彼はその丸い黒目がちの目が印象的な細面で話した。眉は太く口は小さい。縮れた黒髪は後ろで束ねていて痩せた身体は一七〇程だ。国道沿いにある居酒屋でアルバイトもしていてそちらで稼いだお金でアニメや声優関係でお金を使っている。
 それでサークルの部室で今もアニメの話で盛り上がっていたが。
 ここでだ、同じ二回生の高橋英臣からこんなことを言われた。背は一六五位で優し気な小さい目と同じ感じの唇に穏やかな表情で黒い短めの髪の毛はやや癖がある。その彼が憲明にこんなことを話したのだ。
「最近3ちゃんの声優板だけれど」
「3ちゃんの?」
「うん、そこが結構凄いことになってるんだよね」
「3ちゃんの声優板はチェックしてるけれど」
 それでもとだ、河田は高橋に部室にあるインスタントコーヒー、自分が淹れたそれを飲みつつ話した。
「凄いことっていうと」
「あっ、声優個人だよ」
「そっちの板なんだ」
「そっちの加地浩紀さんのスレがね」
「ああ、加地さん結婚したね」
 河田が行ったイベントでも見たことがある、色々なアニメに出ている人気声優の一人だ。若手のホープとも言われている。
 その声優が同じ声優である武達文奈と結婚したことは彼も知っている、それで高橋にそのことを話した。
「武達さんと」
「それでなんだ」
「よかったよ」
 河田は二人の結婚に素直に祝いの言葉を述べた。
「幸せになって欲しいね、お二人には」
「僕もそう思うよ、ただね」
「ただ?」
「加地さん達のことでね」
「凄いことになってるんだ」
「そうなんだ、もう酷いよ」
「まああそこはね」
 3ちゃん自体についてだった、加地は述べた。
「何かあるとね」
「荒れるよね」
「そうした場所だよ」
 ネットでそうした場所であることは知らない者はないと言っていい、それで河田もそのことについて話した。
「あそこは」
「いや、それでもなんだ」
「最近あそこで加地さんのことでなんだ」
「無茶苦茶酷くてね」
 高橋は今度はこう言った。
「見てみる?」
「じゃあ」
 すぐにだ、河田は。
 自分のスマートフォンを出した、そのうえで紅茶を飲む高橋に言った。
「見てみるよ」
「覚悟してね」
 高橋は河田に暗い顔で忠告した。
「本当に」
「いや、だからあそこが酷いのはね」
「3ちゃんがだね」
「声優板も声優個人板も荒れることあるし」
 河田はさらに話した。
「アニメもゲームも」
「確かにどっちも荒れるね」
「特撮板なんか凄いじゃない」
「鬼の時なんかとんでもなかったらしいね」
「そうだってうし」
 それでというのだ。
「だからね」
「別にって思ってるんだ」
「世の中馬鹿はいるから」
 河田は余裕さえ見せて高橋に言った。 
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