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飛び込んできてから

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第三章

「そうだったわ」
「そうだよな」
「キンが来てくれてよかったわ」
「本当にな」
「そうだよな、それじゃあな」
「ゴンはずっとね」
「キンと一緒にね」
「いたらいいな」
「キンがゴンを救ってくれたわ」
 彼が家に来てというのだ。
「たまたま家に来てくれたけれど」
「そのたまたまがな」
「ゴンを救ってくれたわね」
「世の中不条理だけれどな」
 夫は自分が前に出した言葉を思い出して述べた。
「けれどな」
「それでもね」
「偶然、いや多分な」
「違うのね」
「ああ、神様がな」
「助けてくれるのね」
「それも世の中だな」 
 こう妻に話した。
「そうだな」
「そうね、悪いこともあるけれどね」
「いいこともあるな」
「そうだな、ゴンは目が見えなくなったけれどな」
 それでもというのだ。
「友達、家族を貰ったんだ」
「神様にね」
「本当に不条理な悪いこともあれば」
「神様が助けてくれてね」
「いいこともある」
「それが世の中ね」
「じゃあキンはいつもゴンと一緒にいたいからな」 
 だからだとだ、夫は妻に笑顔で話した。
「これからな」
「ゴンのお散歩によね」
「キンも連れて行くな」
「猫用のリードもあるしね」
「ええ、それで連れて行くな」
「それじゃあね」
 妻も頷いてだ、そうしてだった。
 ゴンだけでなくキンも散歩に連れて行った、キンは目が見えないゴンを助けて彼と共に散歩に行った。二匹はこの時も一緒で仲がよかった。その様子は見ているだけで微笑ましいものだった。それが二匹だった。


飛び込んできてから   完


                  2020・4・20 
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