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なんかポケモンの世界に転生したっぽいんだけど質問ある?

作者:ごません
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夢なら覚めてください、お願いだから

「……知らない天井だ」

 思わず口をついて出たのは、某有名ロボットアニメの主人公が意識を取り戻した時の台詞だった。いや、マジでここは何処だろうか?見た感じ子供部屋っぽいから夢かとも思ったが、見覚えが無さすぎる。

「ん~……ん?」

 寝起きのいつものクセで頭と腹をボリボリ掻きながら唸ると、声が妙に甲高い。何だか少女……もしくは、声変わり前の少年の様な感じだ。それに肌がかさついてないし、掻いた時に触れる臍周りの毛の感触もない。それに30過ぎてから落ちなくなった贅肉のあの弛んだ重みも無い。

「……まさか」

 咄嗟にパジャマのウェスト部分を持ち上げて、その中身を確認する。

「……生えてない」

 マイサンを護る様に生えていた黒い草原が、綺麗サッパリ消え失せていた。同時にマイサンはタイムスリップでもしたかのように少年に変貌を遂げていた……まぁ、縮む前も生娘というか、生息子だったので子供と言えば子供だったのだが。

「これは……どういうことだ?」

 どうやら俺は少年になってしまった、若しくはそういう夢を現在進行形で見ているという事になる。いやいや、もうその時点でおかしいんだが。

『キョウヘイ~、起きてるの~?』

 ここは2階らしく、下からは聞き慣れない女性の声が聞こえる。さてこれはどうしたものか、と頭を悩ませる。




 神保 恭平(じんぼ きょうへい)。俺の名前だ。歳は37、未婚のオタク、当然の権利のように童貞。趣味はゲーム……特にポケモン大好き。『ポケットモンスター』、縮めてポケモン。俺が中学の頃に発売されたそのソフトは、瞬く間に全世界で人気を博し、今ではネットの普及と共に世界中の人達とプレイも出来るし世界大会なんてのも開催されてたりする。俺も最初のシリーズが発売されてからドはまりして、いい歳こいたオッサンになってからも懲りずにプレイしてしまう程には大好きだ。お陰でカーチャンには『アンタみたいなのと結婚してくれる変人はどっかに転がってないもんかねぇ……』と呆れられる始末。やべぇ、自分で言ってて悲しくなってきた。昨夜も寝る前にポケモンをプレイしていた所までは記憶がある。確か配信されたばかりのポケモンを管理するアプリをスマホにDLして、そこに過去作で育てていたポケモンのデータを移しつつ、孵化厳選の作業をしてたんだっけ。それでそのまま……寝オチ?

「ってことは、やっぱりここ夢か」

 そう呟いて頬をつねってみる……が、すげぇ痛い。自分の物とは思えないぷにぷにほっぺが、赤くなっている事が解る。という事は、やっぱり夢じゃない?

「うっそだろ、おい……!」

 俺はポケモンに特化したオタクだが、ご他聞に漏れずラノベやアニメもある程度は嗜んでいる。そんな中でも最近流行りの『異世界転生』って奴が俺の身に降りかかったらしい。

「って事はもうポケモンで遊べねぇって事じゃねぇか畜生!」

 思わずベットの上で仰け反る。俺の唯一にして最大の趣味が金輪際遊べないとか、どんな罰ゲームだよ。そんな風にベットの上で悶え苦しんでいると、

「ちょっとキョウヘイ、あなた今日は大事な日でしょ!?」

 部屋に超美人の女性が飛び込んで来たでござる。あまりにビックリしたので変な口調になってしまったが、童貞の俺ではお近付きになるのすら躊躇われる位には美人だ。マジで女優とかモデルって言われても1発で信じるレベル。そんな美人さんが眉根に皺を寄せて怒っている。あぁ、怒っている顔も可愛いなぁ……なんて、アホな事を考えていると。

「今日はあなたの10歳の誕生日、成人の日でしょ。そのお祝いに大城戸博士からポケモンを貰いに行くんでしょう?早く着替えして、朝ごはん食べて支度しなさい!」

「……え、カーチャン?」

「何?アンタ寝惚けて母親の顔も忘れちゃったの?」

 頭が思考停止した。





 待て待て、情報過多が過ぎる。まずは目の前の美人さんは会話と状況から俺のカーチャンらしいという事が判明。マジでか、俺のカーチャンといえば控え目に言ってカビゴン……正直な所をいえばダストダスみたいなのだったぞ!?ちょっと臭かったし。それが生まれ変わったらこんな超絶美人が母親になるとか、やっぱりちょっと嬉しい。それよりもカーチャン……いや、母さんの口からとんでもない情報が聞こえた気がする。10歳で成人?元服より早いの?大丈夫ソレ?そして大城戸博士からポケモンを貰う?大城戸……おおきど……オーキド?

「オーキド博士っ!?」

「えぇ、そうよ?」

「オーキド博士って、あの、ポケモン研究の第一人者の?」

「それ以外誰がいるの。そもそもご近所さんでしょ?」

「という事は……ここは、マサラタウン?」

「当たり前でしょ。ちょっとキョウヘイ、アンタベッドから落ちて頭でも打ったんじゃないの?」

「だ、大丈夫だよカーチャ……いや、母さん」

「あらそう?じゃあ着替えして、さっさと降りて来なさいね?」

 そう言って母さんが部屋を出ていく。前世(?)のカーチャンはあの見た目だったからカーチャンと呼んでいたが、30越えて魔法使いになりかけの糞童貞の俺としてはあんな美人さんをカーチャンとは呼べん。無理。いや、今はそれよりも大事な事がある。

「く……くくく」

 思わず笑いが込み上げてくる。何せ、何度も妄想した事が現実になったのだ。笑えてきてしょうがない。

「ポケモンの世界に転生したとか、夢のような事態じゃねぇかよオイ!ゲーム出来ねぇとか目じゃねぇわ」

 ゲームをやる必要性すら無くなったかも知れん。何せ、目の前には『本物のポケモンがいる世界』が拡がっているのだから。

「やべぇ、やべぇよ……ワクワクが、震えが止まらねぇ!」

 そんな風にテンションストップ高、みたいな感じになってたら腹が空腹を訴えて盛大に音を鳴らす。中身はオッサンでも、身体は10歳、成長期。取り敢えず、着替えて朝飯を食おう。話はそれからだ。




 
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