腐女子の素顔

　　　　　　　　　　　　　　　　腐女子の素顔
　石黒遥は通っている高校では漫画部に所属している、やや茶色がかった胸に少しかかる位の長さの髪の毛を左右にツインテールにして下げている。目はややきつめで眉は細く長く口は大きめで唇は小さい。背は一六〇程でスタイルは結構いい。
　その彼女が今部室で悩んでいた、それで同じクラスで同じ漫画部である織田千夏から突っ込みを入れられた。
「下らないことで悩んでるとか？」
「お前その言葉本気だったらギャラクティカファントムだぞ」
　はっきりとした黒い目にやけに細く一直線の眉に大きな目の千夏に返した、髪の毛は短く付け根がギザギザになっている感じだ。背は一五程で胸はすとんとしている。
「下らないことって何だよ」
「だってあんた個人のことでしょ」
　千夏は怒る遥に言葉を返した。
「別に世界が壊れるとかね」
「そうしたことじゃないからかよ」
「だったらね」
「小さなことか」
「そう、それで何で悩んでるの」
「最近あたしの漫画な」
　遥は千夏の言葉に応えてその悩みを話した。
「サイトに投稿してるのがマンネリだって書かれたんだよ」
「あのボーイズラブっぽいの？」
「何か恋愛が単調だとかな」
　そういった風にというのだ。
「書かれたんだよ」
「ネットの書き込みなんか気にしたら駄目でしょ」
　遥は千夏の言葉にこう返した。
「私のギャグ漫画なんか山上先生の足元に及ばないって書かれたことあるよ」
「レジェンドの方と比べる方があれだろ」
「そうよね、というか私そこまで下品？」
「ガキでかよりもか」
「品のないの描いてるつもりないけれど」
「お前のギャグはどっちかっていうと川崎先生だろ」
　こちらの方の作風に近いというのだ。
「正直な」
「田舎っぺ大将ね」
「音楽かかって褌一枚にはならないけれどな」
「そう言われるとそう？けれどね」
「ネットの書き込みとかか」
「そうよ、サイトに投稿して感想書かれても」
　それでもというのだ。
「荒らしだっているしそうした書き込みもね」
「あるか」
「プロの人で某巨大掲示板にスレッドなんて出来たら」
「ああ、滅茶苦茶書かれてるよな」
「違うでしょってことでもね」
「それでか」
「そんなこと書かれても」
　マンネリだの何だのというのだ。
「正直ね」
「気にしたら駄目か」
「気にしたら駄目だって思ってる」
　千夏はここでこの言葉を真顔で出した。
「これでしょ」
「ニートの言葉みてえだな」
「っていうか実際にでしょ」
「気にしたら負けか」
「書き込みを一々ね、それにソフトバンクのスレッドなんて」
「プロ野球板のか」
「もう負けたら」
　それでというのだ。
「その夜スレッドいつも大荒れだから」
「阪神以上にだよな」
「もう今年は駄目だとか監督批判とかその試合の戦犯追及とか」
「殺伐としてるか」
「そんなのだし。企業だって小説家だって」
「色々書かれるか」
「だからね」
　千夏はあらためて話した。
「本当にね」
「気にしたら負けか」
「そうよ、もう漫画描いて投稿してるなら」
　それこそというのだ。