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巨大兎

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第五章

「地面がへこんだり建物を壊すな」
「頭をぶつけて天井を壊したり踏み潰したり」
「人もそうするな」
「そうですよ、ですから」
「兎はか」
「兎は何故小さいか」
 それでというのだった。
「それには理由がありますね」
「そういうことだな」
「猫も大きいと猛獣で」
 そしてというのだ。
「兎も大きいと」
「家畜に出来ないか」
「鼠も大きいと」
 兎と同じげっ歯類だからだ、渡辺はこの生きものも話に出した。
「ヌートリアになって」
「扱いに困るな」
「はい、ですから」
「兎の巨大化はか」
「これ以上すべきでないかと」
「残念だな」
「というかです」
 渡辺は保志に冷静な顔で話した。
「生物は考えていくべきかと」
「巨大化にか」
「はい、蜥蜴にしても蛇にしても」
 渡辺は今度は爬虫類を話に出した。
「それでもです」
「巨大化させるとか」
「恐竜に匹敵しますし」
「生きものはか」
「本当に考えていかないと」
 それこそというのだ。
「またですよ」
「どうにもとなるか」
「はい、ですから」
「今度はか」
「考えていきましょう」
「それではな」
 保志は渡辺の言葉に頷いた、そうしてだった。
 彼はほんの数秒考えてから渡辺に言った。
「生物ではなくな」
「博士は生物学では」
「だが植物学の権威でもある」
「そうだったんですか」
「そこから考えるか」
「あの、間違っても食虫植物を巨大化とか」
 渡辺は保志のこれまでの『実績』のことから彼に言った。
「そうしたことはしないで下さいね」
「作物限定だ」
「ならいいですが」
 渡辺はこう応えてもだ、それでもだ。
 彼が何をするのかわからなかった、だが。
 彼は作物は穀物や野菜、果物を効率的に大きくするだけに止めた、収穫量も増やし土地への影響も考慮した。すると。 
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