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およしになってねティーチャー

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第三章

「絶対に」
「そうですよね」
「ここ男子校やぞ」
「ですから」
「先生かてな」
 つまり自分達もというのだ。
「全員男やぞ」
「それじゃあですよね」
「絶対にあるか」
 セクハラの話はというのだ。
「それにや」
「はい、悠木先生登校も」
「車やぞ」
 これで通勤しているというのだ。
「そやからな」
「電車でのですね」
「痴漢もな」
 これもというのだ。
「絶対にあるか」
「あるって考える方がおかしいですね」
「何処をどうやったらや」
 それこそというのだ。
「そんな考えに至るんや」
「ですよね」
「ほんまに、おかんは何を考えてるんや」
 カリカリしつつだ、コーヒーを飲みながら言った。
「わしがそんなんするとかな」
「男子校ではないですよね」
「何があってもな」
「セクハラとかストーカーとか」
「痴漢もな、今でも腹立つわ」
 それこそというのだ。
「昨日はそれで焼酎飲んでや」
「自棄酒ですか?」
「憂さ晴らしや、そんなん言う暇あったら」
 それこそという言葉だった。
「おとんの痛風の治療の手伝いしとけ」
「あれ滅茶苦茶痛いそうですね」
「そうらしいな」
「学年主任もそれで」
「あの人もな」
「そうですよね」
「あの人はビールにソーセージ、バターもんに串カツってな」
 そうしたものが好きでというのだ。
「痛風になる条件揃ってるしな」
「ケーキもお好きですし」
「それこそドイツ人並にな」
 痛風が国民病のこの国の人達と同じレベルでというのだ。
「なりやすかったしな」
「実際になっちゃいましたね」
「それでわし等にも言うてるからな」
「痛風には注意しろ」
「そうな、しかしな」
 また悠木だった。
「うちのおかんにはほんま怒ったわ」
「この職場で言えるから凄いですね」
「しかもわし相撲部の顧問やぞ」
 大学までの経験を活かしてのことだ。
「下着はいつも褌やしな」
「相撲をされてるだけあって」
「この顔も、どっからどう見てもセクハラとは無縁やろ」
「先生も全員男ですし」
「ほんまに何処をどうやったらな」
 それこそと言うのだった。
「そう言えるんや、当分実家に帰らん」
「住吉の方には」
「ほんまにな、アホなこと言いやがって」
 とにかくカリカリしている悠木だった、実際に彼は暫く実家に帰らなかった。だが怒りが収まってだった。
 彼はまた実家に帰った、すぐに戻れる場所にあってやはり実家だからだ。足が自然に向いたのである。
 だが南海電車で帰って母に今度はこう言われた。
「あんたの働いてる学校男子校やったな」
「今更言うか」
 それこそとだ、悠木は返した。 
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