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怨恨

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第二章

「私達も言い過ぎた?」
「何かと」
「だからもう私達に話しかけないのね」
「ずっと怨んで」
「それでよね」
「悪いことしたわね」
 こうした話をした、だが誰も彼女に謝らなかった。それは彼女のあまりにも頑なな態度にこれは謝っても許してもらえないと思ったからだ。
 由美はクラスメイトだけでなく自分に太っていると言った者には誰にも話しかけることもなく話しかけられても返事すらしなかった、それで校内で孤立してもだった。
 由美は構うことなくジムに通い続けた、かつてのクラスメイト達とは縁がなくなっていた。
 由美はそのまま高校を卒業して大学に進学したがクラスメイトだった面々は彼女がどうなったのか全く知らなかった。
 だが高校卒業から四半世紀経ってだった、同窓会をしようという時に。
 一人の既に結婚している源須美が同窓会の話をはじめた面々に由美のことを話した。
「ねえ、天霧さん覚えてる?」
「ええと、確か太っていた」
「あの娘よね」
「途中から凄く痩せた」
「あの人よね」
「そう、あの娘何かね」
 その由美の話をするのだった。
「大学卒業して地元の企業に就職して」
「そうだったの」
「こっちにずっといたの」
「どうなったかって思っていたら」
「大学に進学して」
「地元の企業に就職してたのね」
 集まっている面々も由美のことは知らずここで話した。
「そうだったのね」
「どうしてるのかって思っていたら」
「ずっと地元にいたの」
「そうだったのね」
「実家はずっとこっちだけれど」
 最初に話をした須美が言った、かつては落ち着いた感じの黒髪ロングの美少女だったが今は白髪が目立ってきていて顔に皺が出て来ている。
「結婚して子供もいるみたいよ」
「そうなの」
「じゃあ天霧さんの実家に連絡すれば」
「天霧さんにも連絡がいって」
「同窓会にも来てくれるのね」
「これまで何回か同窓会開いたけれど」
 それでもというのだ。
「天霧さんは呼んでなかったわよね」
「そうそう、何でかね」
「天霧さん呼んでなかったわね」
「一度もね」
「そうだったし」
 皆自分達の過去で忘れている部分があった、自分達が由美に何を言っていたのかということを奇麗にだ。
 そのうえでだ、こう話すのだった。
「だったらね」
「ここで気付いたからね」
「これをいい機会にしてね」
「天霧さんも呼びましょう」
「今は苗字変わってるでしょうけれど」
 結婚をしてだ、ここにいる面々も皆結婚しているのでそのことはわかった。
「天霧さんって呼びましょう」
「まだ変わった苗字わかってないし」
「それでその天霧さんもね」
「今度の同窓会に呼びましょう」
「一体どうなってるかしらね」
「最初は太っていたけれど随分痩せたわよね」
「そうだったけれどね」
 やはり太っていた時の彼女に何を言ったのかは覚えていない、何しろ二十五年も前のことであるからだ。
 それで須美もこう言った。
「今どうなってるか楽しみだし」
「そうよね」
「私達も変わったしね」
「皆太った?」
「白髪もある娘いるし」
「私だってね」
 須美は困った様な笑顔になって言った。 
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