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ジンの髪の毛

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第二章

「そこまではな」
「書いていないですね、私も字は読めるので」
「コーランも読んでいるな」
「はい、そうしていますが」
「ジンの姿の詳しい部分まではか」
「ちょっと書いていないですね」
「どういった者達かは書いていてもな」
 それでもというのだ。
「姿はな、だがジンは姿は変えられるとな」
「コーランでありますね」
「だが髪の毛まではな」
「どうなんでしょうか」
「わからん、しかしあの髪型は」
 今セルジュクが言ったそれはというのだ。
「ムスリムの髪型とはな」
「違いますね」
「ランプから出て来る場合もな」
「ええ、特にあの時の姿は」
「さて、ジンの髪の毛はどうなのか」
「それが私の疑問ですが」
「わしも調べてみよう」
 シードもわからないことだった、イスラムの法学者でありこの宗教の疑問に答える立場である彼にしてもだ。
 それでだ、こう言ったのだった。
「これからな」
「お願いします」
「そうしていくな」 
 こうしてシードは必死にジンの髪の毛について調べていったが姿は変えられることはわかってもだった。
 髪の毛は具体的にどうなのかはコーランにも他の書にも書かれてはいなかった、ただランプから出て来る時はだった。
 セルジュクが言った髪型で結局彼もそれではないかと思いはじめた、そんな時にだった。彼はある噂を聞いてそれをセルジュクの家にワインを持って行って二人でまずはアッラーに酒を飲むことを謝罪してから話した。
「何でもピラミッドの方にな」
「昔の異教の王が造らせたあれですね」
「ムーサーと悶着があったな」
「あの王のものですか」
「いた、ムーサーと揉めた王ではない」
 そこは違うとだ、シードは断った。
「ただな」
「それでもですか」
「昔この辺りを治めていた王の墓なのは確かだ」
「それでそのピラミッドのですか」
「一番大きなものの入り口に夜にジンが出るらしい」
「ではそのジンにですね」
 セルジュクはシードの話を聞いて目を輝かせて言った。
「私の疑問のことを聞けば」
「わかるな、わしも君の話を聞いてな」
 それでというのだ。
「疑問になっていた」
「では二人の疑問を」
「いい機会だ、是非な」
「ピラミッドの方に行って」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「ジンに直接話を聞いてみるか」
「当人にですね」
「ジンは人ではないが」
 それでもというのだ。
「他ならぬそのジンだからな」
「まさに話を聞けばですね」
「会ってな、ではな」
「はい、夜にですね」
「二人でピラミッドの方に行くか」
「そうしますか、人の疑問も」 
 それもとだ、ここでセルジュクはこんなことを言った。 
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