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占術師速水丈太郎  死の神父

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第五章

「魔道を極めていますね」
「そうしています、ですから」
「その魔道の犠牲者をこれ以上出さない為に」
「宜しくお願いします」
「承知しています、ですが美しい海と空、そして砂浜と雲の中で」
 青と白、その二つの世界で守られればというのだ。
「魔道を行うなぞ」
「そのこと自体がですね」
「どうかと思います、魔道といっても色々で」
「魔界にもですね」
「魔道、魔界の行いにしてもそれは」
 その右目を曇らせかつ顰めさせてだった、速水はさらに話した。
「邪道の中の邪道ですね」
「そちらの言葉では左道ともいいますね」
「妖術の中でも呪術で」
「そして呪術の中でも」
「最も邪道です、美女を次々と生贄にしおぞましいやり方で殺し」
「その魂を悪魔に捧げようなぞ」
「恐らく召喚し自身の主にしようという悪魔も」
 その悪魔の話もした。
「碌な悪魔ではありません」
「悪魔といってもそれぞれですからね」
「それはむしろキリスト教徒でない人の方がわかりやすいですね」
「そうなりますか」
「はい、天使についてもそうですが悪魔について客観的に見ることが出来ますので」 
 キリスト教の教理、キリスト教を理解するうえで絶対に外せないものだがそれを理解していても主観になることがないからだというのだ。
「ですから」
「それで私もですか」
「速水さんはキリスト教徒ではありませんね」
「はい、言うならば神道になりますね」
 速水は司教の今の問いに少し自分の頭の中で考えそのうえで答えた。
「また仏教も」
「あちらの寺院にも参拝されて」
「そうなりますね」
 信じる宗教、それはというのだ。
「言うならば」
「そうした立場の方の方がです」
「悪魔について客観的に見て」
「悪魔といっても様々な者がいるということをです」
「理解出来るというのですね」
「悪魔といっても実に様々で」 
 一概にキリスト教において悪とされ神に対する存在として否定の対象となっている者達もというのだ。
「悪質な悪魔というものが存在し」
「その神父が信じている悪魔も」
「尋常な悪魔ではないでしょう」
「そうでしょうね、人を生贄にして喜ぶ輩が信じる存在なぞ」
 例えそれが悪魔でなくともとだ、速水は司教に即座に述べた。
「まともである筈がありません」
「既に人の心を持っていない存在だからですね」
「結論から述べさせてもらうとそうなります、ですから一刻も早く」
 不愉快極まる相手だからだけではない、少しでも長く放置しておくとまた一人犠牲者が出てしまう。速水はその危惧からも司教に述べたのだ。
「この神父のことを詳しく知り」
「そうしてですね」
「弱点等も見極め」
「そのうえで」
「倒します、生きていてはならない輩だからこそ」
 確実にとだ、速水は己の言葉にこの言葉も含ませて語った。
「必ずです」
「倒されますか」
「そうさせて頂きます」
「では神父の資料、個人情報に至るまで」
「渡して下さいますね」
「こちらに」
 司教はUSBメモリーを取り出し速水に自ら手渡した、速水はそのメモリーを受け取るとすぐに自身のノートパソコンを出して開きメモリーを差し込んだ。そうして神父の細かい情報を知りその日のうちにだった。
 島に船で向かった、既に夜になっていたがそれに構わず港からボートを出してもらいそれで向かった。そして今も同行している司教に言った。
「時間をかけるつもりはありません」
「即座に、ですね」
「今から敵の城に乗り込み」
 本来は聖堂であるがあえてこう言ったのだ。 
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