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彼女は狼少女

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第二章

「一体」
「実は私のひいひいお祖母ちゃんが狼女でして」
「そうだったんだ」
「ロシア革命の時に日本に亡命して」
「ソ連が出来た革命だね」
「その革命の時に日本に入って」
「日本の人とだね」
「結婚しまして」
 それでというのだ。
「私にです」
「狼女の血がなんだ」
「流れていて。私の家系は男の人はワーウルフにならないですが」
「女の人はなんだ」
「そうなるんです」
「そんな血筋なんだ」
「それで私もです」
 すみれ自身もというのだ。
「満月には狼になるんです」
「そうだったんだ」
「それで満月の時には」
「用心しているんだ」
「はい、満月の光を浴びない様に」
「光を浴びれは狼女になるからだね、いや」
 ここでだ、勇気はすみれが女子高生であることからこう言った。
「すみれちゃんは狼少女かな」
「そうなりますね」
「そうだよね、やっぱり」
「完全に狼にならずに」
「映画の狼男みたいな外見かな」
「ああした風になります、お母さんもなんですよ」
「つまり母方の血だね」
 勇気はこのことも理解した。
「そうなんだね」
「お父さんはそれでいいって言ってくれてます」
「奥さんが狼女でも」
「確かにワーウルフになりますけれど」
 それでもとだ、すみれは勇気に話した。
「私達別に人を取って食べ杯ですから」
「そういえば狼は」
 勇気はすみれのその話から思い出したことがあった、それは狼についてのことだった。
「人は襲わないし」
「食べたりしないですね」
「そうだったね」
「だから犬になりました」
 狼が家畜化されたものが犬だ、すみれもこのことを知っているのだ。
「狼が人を襲う時は」
「相当に餓えているか狂犬病の時で」
「特別な時ですしそもそも」
「そもそも?」
「人の意識はそのままですし」
 ワーウルフ、つまり狼少女に変身してもというのだ。
「心が変わったりしませんから」
「ああ、すみれちゃんのままなんだ」
「外見が変わるだけです」
 ただそれだけだというのだ。
「勿論食べるものの好みもです」
「変わらないんだね」
「はい」
 すみれは勇気に答えた。
「全く、ちなみに私スパゲティが好きで」
「狼少女になっても」
「食べます、ただ狼の口になりますので」
「スパゲティ食べにくいね」
「それが困ります」
 すみれは実際に困った顔になって勇気に話した。 
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