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妖刀を抜いた男

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第一章

               妖刀を抜いた男
 ラファエル=ゴイティゴーゾこと田山幸平とエドアルド=カルヴィーノこと坪内優一は今は田山の神託で法橋上空の浮島諸島の中にある浮島の一つアケメネス島のスサに来ていた。
 そのスサにおいて田山は坪内に言った。
「この街には嫌な話がある」
「自分の嫌な話は本当に嫌な話だな」
「私は真実しか話さへんからな」
 それでという返事だった。
「嫌な話はな」
「ほんまに嫌な話か」
「この街には人斬り剣士の話がある」
「日本の時代劇の人斬り侍か」
「近いというかそのまま、しかも」
 田山は坪内にさらに話した。
「斬りたいから斬る」
「もう理由もなくか」
「老若男女問わず」
 それこそというのだ。
「目についた相手は斬る」
「そうした奴やったか」
「斬られた者は数知れず」
「わからん位か」
「千人とも言われている」
「それはまた凄いもんやな」
「幸い当時から復活の術があって斬られても蘇った」
 例え殺されてもというのだ。
「そやが」
「そんな奴がうろついてるとな」
「わかるな」
「碌なもんやない」
「それで大勢の腕利きの冒険者が呼ばれて」
「寄ってたかってか」
「倒して魂も消し去ったが」
 そうして完全に退治したがというのだ。
「それで話は終わらんかった」
「どうせ怨念が残ってるな」
「剣士が持ってた刀は剣士が倒された時に何処かに消えたらしい」
「ほなあれか」
「その刀がこの街か近辺の何処かにあって」
 それでというのだ。
「それを拾ったらな」
「剣士の怨念を受け継いでか」
「何でも魂魄のうちの魄が残ってて」
 こちらがというのだ。
「刀に憑いてるらしい」
「それで刀を拾ったら呪われて」
「それでな」
「人斬りになるか」
「そんな話がある」
「ほんまに嫌な話やった」
 ここまで聞いてだった、坪内はあらためて言った。
「これから飲むカフェがまずなる」
「飲むんか」
「そやけど今は止める」
 コーヒー、それを飲むことをというのだ。
「後で飲む」
「そうか、ほなな」
「喫茶店に行く分」
「ギルドに行こうか」
「旅の冒険者と素性を隠して」
「私の神託でありそうな依頼を探す」
「そうするか」
 こう坪内に提案した。
「これから」
「わかった」
 坪内も頷いた、これで決まりだった。
 二人はスサのギルドに赴き田山の真楽でありそうな依頼を探した、だがこれといった依頼はなく田山はギルドの中の喫茶店で坪内に言った。 
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