蛇の祭壇

　デオリンダはマリーメイアを誘って街の居酒屋に入った、そこでだった。
　分厚いチャーシューが入った醤油のスープの麺にフカヒレ餃子、肉まんに北京ダッグ、チンジャオロースにダピオカミルクをデザートに頼み酒は杏酒を注文した。
　乾杯の後でそうしたものを飲んで食べているとだ、ここで。
　デオリンダの手にあるものが宿った、それと共に自分の心の中に語ってきた言葉をそのままマリーメイアに話した。
「財政理論研究っていう本です」
「それがデオリンダちゃんの新しい神具か」
「財政のことなら何でも教えてくれる」
　まさにというのだ。
「立派な神具です」
「財政家のデオリンダちゃんに相応しい神具やな」
「ほんまにそうですね、それに」　
　肉まんを食べつつだった、デオリンダはマリーメイアにさらに話した。
「神託を適えたことで」
「それでやな」
「私自身も全体的に一回り強くなりました」
　このことも心の中で語り掛けてくる言葉が教えてくれていた、それをそのままマリーメイアに話したのだ。
「そうなりました」
「それは何よりやね」　
　マリーメイアは微笑み北京ダッグを食べた、そのうえでの返事だった。
「ほんまに」
「はい、ほな今はここで飲んで食べて」
　デオリンダは杏酒、ソーダ割りの冷えたそちらも楽しみつつマリーメイアにあらためて話した。
「その後は」
「どいするかは」
「こう決まってます」
　既にと言うのだった。
「私達はこの世界を救うことが目的です」
「星のモンとして」
「そうですさかい」
「これで終わりやないから」
「ここを出たらすぐに」
　真面目な声だった、デオリンダはその声でマリーメイアに話した。
「次の場所に行きましょう」
「そやな、今は飲んで食べて英気を養って」
「世界を救う為に働きましょう」
　これからもとだ、デオリンダは言ってだった。
　今は美酒に馳走を楽しんだ、それは実に美味いものだった。


蛇の祭壇　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　２０１９・９・１８