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大変な船旅

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第二章

「お役所との事務とかな」
「やったことないんかいな」
「ずっと地中海の方でやっていたんだよ」
「欧州とかアフリカ沿岸か」
「そっちの事務手続きとは全然違うからな」
「それはな」
 当然だとだ、ウスマンも答えた。
「ここは十星連合やからな」
「こっちのルールで動いてるんだな」
「お役所は特にな」
「それでか」
「お役所は法律とルールで動く」
 そうした場所だというのだ。
「そやからな」
「それは地中海の方でも一緒でな」
「イタリアとかエジプトでもやな」
「チュニジアとかな、けれどな」
「こっちとはやな」
「全然違うんだよ、地中海の方はもう簡単でな」
 そちらのお役所の事務仕事はというのだ。
「何でもないんだけれどな」
「それがかいな」
「こっちは随分難しいな」
「そうか?」
 ウスマンの横で船長の話を聞いてだった、クルマは首を傾げさせて言った。
「結構わかりやすいやろ」
「あんた達はこっちの人だから言うんだよ」
「ここにずっとおるからか」
「そうだよ、俺は生まれはセネガルでもな」
 この国でもというのだ。
「統一されるまでずっと地中海で仕事していてな」
「こっちに戻ったきたのはかいな」
「はじめてでな、昨日会社の方から船長にしてもらったけれどな」
「十星連合の事務仕事はか」
「本当にわからなくてな」
 それでというのだ。
「もう何をしていいか」
「具体的に聞こうか」
 ウスマンは何もかもがわからないという船長に助け舟を出した。
「何がどうなってるのか」
「まず出港依頼な」
「それは港の港湾管理局の出港課や」
「そこか」
「ああ、そこに行けばいい」
「受付は何処だよ」
 その出港課のというのだ。
「それで」
「それはここやと二階の七番窓口や」
「そこなんだな、じゃ船員名簿の提出は」
「それは一階の五番窓口や」
「荷物の方は」
「それは五番窓口でな」
 同じ窓口でというのだ。
「荷物のリストを提出や」
「それでいいんだな、じゃあ冒険者と武器の携行許可は」
「それは管理局のギルド課や」
 そこだというのだ。
「そこでや」
「提出すればいいんだな」
「そこは二階の十二番窓口や」
「そっちか」
「武器の方もしてくれるわ、あとな」
「あと?」
「書類に不備があるとな」
 ウスマンは船長にこのことも話した。
「書きなおしになるからな」
「だからか」
「書類はちゃんと書くんや」
「そうしないとあかんか」
「ちょっとな、しかしな」
「しかし?」
「自分には今タメ口なんか正式な契約前にしても」
 正式に契約、役所でそれが認められれば口調は変えるというのだ。 
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