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最も相応しい生贄

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第四章

 王は周りの者達に彼等だけになった時に話した。
「生贄にはこうするものだ」
「生贄にする日まで酒を馳走を楽しませる」
「そうしていますね」
「そして祭りの日にですね」
「その夜に」
「捧げるのだ、あの男にもそうしたしな」
 それ故にというのだ。
「この度もだ」
「二人ですが」
「二人共にですね」
「そうしますね」
「そのつもりだ、一人よりもだ」 
 王は楽し気に笑って話した。
「生贄は多い方がいいだろう」
「二人ならですね」
「尚更いいですね」
「だからこそですね」
「それならそれでいい」
 こう言ってだった、王は生贄の用意をさせていった。そしてだった。
 生贄の仕方もだ、王は決めた。
「この度は焼く」
「焼いてですね」
「そのうえで、ですね」
「前は首だけにして木に吊るしたが」
 今回はというのだ。
「そうしてだ」
「殺してですね」
「そうしてそのうえで」
「神々に捧げよう」
 こう言った、だが二人は。
 父の首環には魔力があった、その魔力を使って蚊に変身して王の話を聞いていた。そしてその話を聞き終えてだった。
 部屋に戻ってだ、二人で話した。
「焼き殺すか」
「ならだな」
「そこからどうするか」
「それを考えるか」
「ここはだ」
 フナフプがシュバランケに話した。
「あえてだ」
「あえてというと」
「焼かれるか」
 こう提案するのだった。
「そうすればだ」
「そうか、もう王はな」
「俺達が生贄になってだ」
「若し俺達の考えを察していてもだな」
「生贄になって死んだと思ってな」
「安心するな」
「そうなるからだ」
 だからだというのだ。
「ここはだ」
「あえてだな」
「生贄になろう」
「そうだな、ではな」
 シュバランケはフナフプの言葉に頷いた、こうしてだった。
 二人はあえて生贄となった、この時二人は手袋を着けていた、フナフプはこの時もシュバランケに話した。
「この手袋は付けているとな」
「生き返ることが出来るな」
「魔法の手袋だ」
 そうしたものだというのだ。
「父上が残してくれたこれはな」
「球、首環と共に吊るされていたが」
「これはだ」
「そうしたものだな」
「だからだ、今はだ」
「これを着けてだな」
「あえて生贄になろう」
 生き返ることが出来るからだとだ、こう話してだった。
 二人は自ら進んで生贄に捧げられた、王は二人を焼き殺した。そうして言うのだった。 
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