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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第七幕その八

「暗鬱な作品、狂気を感じさせる作品が多くなってね」
「自殺が近いことをだね」
「感じさせるものになっているよ」
「それが問題だよね」
「また太宰も晩年の作品はね」
 この人の場合も自殺する前です。
「作風が変わっているんだ」
「自殺が近いことを感じさせるんだ」
「そんな風なんだ」
 この人についてもというのです。
「あの人についても」
「そこで自殺をかな」
「そう、本当にね」
 実際にというのです。
「していくしね」
「そのことからも作風が違うのに一脈通じるとかな」
「思えるのかな」
 その様にというのです。
「芥川と太宰は」
「そうなんだね」
「あと太宰は津軽出身だね」
「あっ、そうだね」
 そのことを言われて思い出した王子でした。
「あの人は」
「そう、青森のね」
「あちらの大地主の家の出だったね」
「そうだよ、寒い場所の出身だよ」
「青森は日本ではかなり寒いからね」
「そこの生まれで湯豆腐が好きだったみたいだよ」
「あれっ、湯豆腐って」 
 そう聞いてでした、王子はおやという顔になって言いました。
「泉鏡花の好物だね」
「それであの人もね」
「湯豆腐が好きだったんだ」
「それで奥さんがいつもかなり買ってね」
「食べていたんだ」
「それでお酒もよく飲んだんだ」
 太宰治はそうだったというのです。
「熱燗とは限らなかったみたいだけれどね」
「熱燗はあれだね」
「もう泉鏡花だね」
「あの人みたいに何でも熱してじゃなかったんだ」
「そこは違ったみたいだよ、それと」
 まさにと言う先生でした。
「太宰の作品を読んでいると何か」
「何か?」
「何か感じそうだってね」
「思えるんだ」
「不思議とね」
「じゃあ宴についても」
「何かヒントが出るかな」
 こうも言ったのでした。
「ひょっとしたら」
「出たらいいね」
 王子は先生のそのお話に笑顔で応えました。
「そこからも」
「たまたま読んでいるものから何か出る」
「そういうこともだね」
「世の中にはあるね」
「そうそう、普通にね」
 そうしたことはというのです。
「それでね」
「今もだね」
「読んでいてそう思うんだ」
「宴で何かヒントが出たら」
「有り難いね」
 本当にというのです。
「心から思ってるよ」
「そうだね、じゃあ太宰の作品も」
「どんどん読んでいくよ」
「それで今は何を読んでるのかな」
 太宰のどの作品をとです、王子は尋ねました。
「それで」
「新ハムレットだよ」
 この作品をというのです。 
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