| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生と姫路城のお姫様

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六幕その四

「先生は妖怪にも縁が出来ましたから」
「だからなんだ」
「はい、ひょっとしたらですが」
 それでもというのです。
「お姫様にもです」
「会うかも知れないんだね」
「これまでは確かにお会いしませんでしたけれど」
「今回ひょっとしたら」
「あくまでひょっとしたらですが」
 可能性は非常に少なくてもというのです。
「有り得ますよ」
「そうなるかな」
「というかお姫様って元旦にしか出ないって言われていますけれど」
「天守物語はお正月かっていうと」
「違いますよね」
「その辺りはお姫様次第だね」
 お姫様が出たいと思うか思わないかという問題だというのです。
「本当に」
「そうですね、それじゃあ」
「うん、お姫様が出たいと思えば」
「出て来るから」
「若しかしたらね」
「先生もお会いするかも知れないですよ」
「若しそうなったら」
 それならと言った先生でした。
「僕は光栄だね」
「兵庫の妖怪の総大将さんとお会い出来てですね」
「そう思うよ」
 絶対にというのです。
「その時はね」
「そして僕達も」
「そうだね、トミーもね」
「そう思えますね、ただ」
「ただっていうと」
「いえ、何かあのお姫様ティターニアみたいに思えてきました」
 ここまでお話してです、トミーはシェークスピアの作品に出て来たこの登場人物を思い出しました。
「妖精の女王の」
「真夏の夜の夢に出て来たね」
「あの女王様にちょっと」
「イギリス人から見るとね」
「何か似た感じがしますね」
「そうだね、人ならざる種族の主だからね」
「それも女性の」 
 このことからというのです。
「そうも思えますね」
「そうだね、言われてみればね」
「先生もですね」
「違う部分も多いけれど」
「同じ様な存在ですね」
「そうだね、ただ妖精とキリスト教は相反する様に思われているけれど」
「悪魔だとも考えられたりしましたね」
 時代によってはそうだったのです。
「そもそもケルト神話からの存在で」
「キリスト教とはまた違うよ、けれどね」
「日本の妖怪は神道や仏教とも関係が深いですね」
「そう、当然皇室ともね」
「神道の中心には皇室がおられますから」
 日本の皇室がです。
「そうなっていますね」
「日本ではね」
「その辺りは本当にイギリスと違いますね」
「日本は神話は現代にもつながっているよ」
「古事記や日本書紀だと」
「そう、自然とね」
 そうもなっているというのです。
「神話の時代から神武帝が出て来られて」
「そしてですね」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「妖怪についてもね」
「皇室と関係が深いことが」
「イギリスと違うよ」
「ティターニアそしてオベローンがイギリス王室と関係がある」
 トミーはティターニアだけでなく彼女のご主人である妖精の王様のことも脳裏に思い浮かべて言いました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧