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濾過

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第四章

「大変なことだが」
「それも、ですね」
「あの人の資金がよくなかったですね」
「多いことはいいのですが」
「それでも」
「いつも言っているね、政治はお金だけれど」
 岸はここでも持論を述べた。
「どういったお金かだよ」
「奇麗なお金でないと駄目ですね」
「濾過して奇麗にしていないと」
「田中さんの様に突っ込まれて」
「あの様になりますね」
「そう、人は見ているんだ」
 岸はこのことも指摘した。
「誰かが。特に首相ともなれば」
「皆が見ますね」
「日本の誰もが」
「そう言われていますね」
「そして海外も。どうも」
 ここでこうも言った岸だった。
「アメリカが噛んでいるかも知れないがね」
「アメリカですか」
「あの国がこのことに噛んでいますか」
「田中さんのことに」
「そうかも知れないね、しかしね」
 例えアメリカに陥れられたにしてもというのだ。
「突かれるものを持っていたからだよ」
「突かれますか」
「そうなりますか」
「お金のことにしても」
「奇麗なお金でなかったからこそですか」
「そう、政治では陥れられる方が悪い」
 陥れる者達が悪いのではなくだ。
「彼はそれがあったんだよ」
「そのお金のことですね」
「お金が濾過されていなかった」
「だからああなったのですね」
「その通り、だから私はこれからもだよ」
 岸は周りに政治家として話した。
「お金は濾過してね」
「使っていかれますね」
「お水の様に」
「汚い水は飲むと悪い」 
 岸はこうも言った。
「そして汚いお金もだよ」
「使うと悪い」
「そうなるのですね」
「あの通りにね」
 岸はここでテレビを点けた、そこでは田中のことが話されていた。彼の金脈の疑惑について色々と話されていた。岸はその報道を周りと共に観て難しい顔になっていた。


濾過   完


               2018・11・12 
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