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レーヴァティン

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第百三話 夜襲破りその九

「王都にも送るな」
「王都ですか」
「あちらにもですか」
「使者は送りますか」
「今回の勝利は大きいだろ」
 それも非常にとだ、久志はその王都の方を見て話した。
「もう決定打って言っていい位にな」
「それはそうですね」
「その通りです」
「ではですね」
「王都の方にも使者を送って」
「降る様に言いますね」
「乾坤一擲の攻撃だったんだ」
 昨日の夜襲、それはというのだ。
「それが失敗したらな」
「それならですね」
「意気消沈していますし」
「実際の戦力も減っていますし」
「捕虜や回収した遺体も多いだろ」
 王都から出て来た軍勢にいた者達の中からというのだ。
「その分軍勢も減ってるしな」
「ですね、武器も潰れていますし」
「かなり転がってもいます」
「じゃあ敵の武器も回収して」
「こっちの戦利品にしますか」
「そうもするな、とにかくな」
 久志は笑いつつさらに言った。
「ここはな」
「はい、やりましたね」
「敵の夜襲を破りました」
「これは大きい勝利ですよね」
「どう考えても」
「戦がな」
 まさにと言うのだった。
「終わる様なものだな」
「その通りですね」
「じゃあ今日は休んで」
「そうして英気を養ってですね」
「そのうえで」
「また明日だよ」
 久志は将兵達に明るい声で話した。
「そうするからな」
「わかりました」
「じゃあ今から休みます」
「そうします」
「休むのも戦だからな」
 そのうちの一つだというのだ。
「俺も休むな」
「昨日寝られましたね」 
 士官の一人がここで久志に尋ねてきた。
「そうですね」
「ああ、二時間位は寝たな」
 久志はその士官にすぐに答えた。
「鎧もブーツも着けてだけれどな」
「それでもですね」
「寝ることは寝たぜ」
 それはしたというのだ。
「ちゃんとな」
「そうですか」
「ああ、少しでも寝るとな」
 例え二時間でもというのだ。
「全然違うよな」
「一睡もしないよりは」
「全然寝ないとな」
 つまり一睡もしない場合はというのだ。
「これは最悪だからな」
「身体にかなり悪いですね」
「それだけ寿命縮めるぜ」
 そこまで身体に悪いとだ、久志は士官に話した。
「これ祖父ちゃんに言われたんだよ」
「護民官の本来の世界の」
「ああ、そこでな」
 実際にというのだ。
「言われたんだよ」
「そうですか」
「例えどれだけ忙しくてもな」
「寝ることはですね」
「しないとな」
「命が短くなりますか」
「寿命もそれだけな」
 この世界では肉体が死んでも寿命が来るまでは魂だけになっても復活出来る、術でそうしたことが可能である。 
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