車とバイク
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第七章
「車と共に死ぬのよ」
「交通事故じゃないよね」
「車の中で大往生するのよ」
それが自分の夢だというのだ。
「車で世界一周してからね」
「そこまで思ってるから」
「浮気なんてしたら」
オートバイに対してというのだ。
「まずいでしょ」
「そうなるのかな」
「なるのよ、とにかくね」
オートバイに興味があって店に来てまで見て調べていることはというのだ。
「絶対に認めないから」
「別に悪いことじゃないけれど」
「だからそういう設定なのよ」
あくまでというのだ、とにかく清里愛はムキになって自分がオートバイにも興味があることはひた隠しにしていた。
そうして時々下手な変装をしてまでして大地の家に行っていたがある日友人達にこんなことを言われた。
「清里愛ちゃん戦車好き?」
「洗車じゃないわよね」
「自衛隊で使ってる方よ」
そちらの『せんしゃ』だというのだ。
「装甲車とか自走砲とかね」
「そういうのはね」
どうにもとだ、清里愛は友達に答えた。
「重機は好きだけれど」
「それでもなの」
「自衛隊の人達は凄いと思うけれど」
災害救助や国防に貢献してくれているがというのだ。
「兵器とか興味はね」
「ないの」
「ええ、道走れないのよね」
「重過ぎるみたいよ」
日本の公道を走るにはだ。
「キャタピラでアルファルト壊すみたいだし」
「道壊して走るのもね」
「どうかっていうの」
「ええ、それにね」
さらに話す清里愛だった。
「私大砲とかミサイル興味ないし」
「だからいいの」
「軍隊とかも進んで見ようと思わないから」
「そうなのね」
「本当にそっちはいいわ」
普通の車や重機はいいがというのだ、あと極秘でオートバイもだ。
「私はね」
「そういうことね」
「ええ、八条グループは兵器も造ってるけれど」
「結構以上に蔡さん取れないらしいわよ」
かなりの予算を技術と設備、人材に常に投資しないといけない分野であるが市場は限られているからだ。
「これがね」
「やっぱりね」
「わかるの」
「だってね、戦車一両十億でしょ」
その値段は清里愛も聞いている。
「自衛隊のは」
「高いわね」
「それで千両も造らないのよね」
「六百位みたいよ」
「それだけしか造らないと」
それこそというのだ。
「やっぱりね」
「儲からないっていうのね」
「お父さんが言うには」
自動車会社の部長である彼の言葉はというと。
「戦車売るよりね」
「自動車売る方がいいの」
「平和だしどんどん売れるしずっと安いから」
「だからなのね」
「戦車より自動車よ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
清里愛もその通りと思いつつ話す。
「世の中平和が一番で」
「安くてどんどん売れるものなら」
「そっちの方がずっといいじゃない」
これが清里愛の考えだった。
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