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子供達の裁判

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第一章

               子供の裁判
 この時子供達は色々な遊びをやり尽くした、他にも色々遊びはあるが彼等はそう思わざるを得ない状況にあった。
 それでだ、眼鏡をかけた子供である小原翔太が皆に提案した。
「裁判しない?」
「裁判?」
「裁判をするの?」
「うん、裁判ごっこしよう」
 こう皆に提案するのだった。
「その遊びしよう」
「裁判っていったら」
 それならとだ、太った子供の立壁雅夫が応えた。
「ドラマでやってるよね」
「うん、弁護士とか検事とか出てね」
 翔太は雅夫にこう答えた。
「被告人、悪いことをした人をね」
「裁判にかけてね」
「有罪だったら刑務所行きだね」
 小柄な子供である肝付勇作が言ってきた。
「それか死刑だね」
「打ち首獄門は時代劇よね」
 三つ編みの女の子野村美代子はこう言った。
「そうよね」
「今打ち首とかはないわよ」
 こう言ったのはロングヘアの女の子本多絵里だ。
「縛り首よ」
「そうなの」
「だから悪いことをしたって判決が出たらね」
「刑務所に入るかなのね」
「死刑になるわ」
「本当に死刑にしたら駄目だよ」
 そこは注意した翔太だった。
「やっぱりね、けれどね」
「今から裁判ごっこするんだ」
「そうするんだ」
「他にやることないしそうしよう」
 是非にとだ、翔太は雅夫と勇作に話した。
「ここはね」
「うん、じゃあね」
「ここはね」
 二人も頷いて美代子と絵里も反対しなかった。それで五人は裁判ごっこをはじめた。ジャンケンをしてだった。
 そうして誰がどの役をするかが決まった、翔太が裁判官にになり雅夫か被告人、勇作が検事になり。
 美代子が弁護士、そして絵里が証人になってだった。
 遊びはじめた、勇作は適当に証拠を出した。
「被告人は昨日おやつを盗み食いしていました」
「そのおやつは何ですか?」
 翔太は勇作にこのことを尋ねた。
「それは」
「はい、ドーナツです」
「違います」
 雅夫はここでこう言った。
「昨日私が食べたおやつは柿です」
「それは本当ですか?」
「はい、昨日の三時に家で食べました」
 そうだったとだ、雅夫は翔太に答えた。
「そうしました」
「昨日の三時ですか」
「はい」
 雅夫はすぐに答えた。
「とても美味しかったです」
「しかし盗み食いではなかったでしょうか」
 このことをだ、勇作は指摘した。
「果たして」
「と、いいますと」
「はい、被告人が家で柿を食べていても」
 それでもというのだ。
「それが盗み食いでないという証拠はあるでしょうか」
「検事はその証拠を持っていますか?」
「はい、昨日です」
 まさにというのだ。
「被告人はお母さんにおやつは三時半まで待てとです」
「言われていたのですか」
「私は確かに聞きました、家は隣にあります」
 勇作の家と雅夫の家は隣同士なのだ。 
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