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ある晴れた日に

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172部分:輝けダイアモンドその六


輝けダイアモンドその六

「その方が万全じゃない」
「万全か」
「音橋君もそう思うでしょ」
 穏やかな声でまた正道に言ってきた。
「二人の方が安心できるじゃない」
「まあな」
 正道もそれは否定しなかった。
「それはな。そうだよな」
「一人で何かあっても二人でそこにいたら」
「おかげで助かった・・・・・・ってことあるからな」
「だからなのよ」
 未晴が言うのはそういうことだった。
「お互い助け合ってね」
「助け合ってか」
 正道は今の未晴の言葉に思うところがあった。それを実際に彼女に告げる。
「助け合ってっていうけれどよ」
「ええ」
「竹林の場合あれだろ?」
「あれって?」
「自分が助けてばかりじゃねえか」
 このことをここでも言うのだった。
「いつもあの五人をよ」
「それは気のせいよ」
 穏やかに笑っての返答だった。
「それはね」
「そうか?」
「私だって本当に助けてもらってるのよ」
 そしてこうも言うのである。
「皆にね」
「あの五人にねえ」
 正道は未晴の言葉を聞きながらその五人の顔を思い浮かべる。頭の中に思い浮かべるその五人の顔は適当で能天気な笑顔になっている。
「あいつがそんなことできるのかね」
「一緒にいてくれて。気分を穏やかにさせてくれたり」
「そうか!?」
 こう言われてもまだ懐疑的なままである。
「そうなのか!?本当に」
「ええ、そうよ
 また言う未晴だった。
「本当なのよ」
「あまりそうは思えないぜ」
 正道は正直だった。
「はっきり言ってな」
「だから。落ち込んだ時に励ましてくれたり」
「励ましてくれたりか」
「明るい気持ちにさせてくれたり。そうしていつも」
「まあ明るいことは明るいよな」
 また頭の中で適当で能天気な笑顔を思い浮かべるのだった。
「それはな」
「その明るさに助けられてるのよ
 未晴が言うのはそういうことだった。
「いつもね」
「じゃああれか?」
 正道はここまで話を聞いたうえでまた未晴に対して言った。
「気持ちを晴れやかにさせてくれてるっていうのが凄い助かるっていうのか」
「ええ」
 未晴は彼の今の言葉に対して頷いた。
「他にも色々とあるけれど」
「それでもよ」
 それを聞いてもまだ言う正道だった。
「何かな。それでもな」
「やっぱり私が一方的にって思うの?」
「まあな」
 このことも全く隠さなかった。
「どうしてもそう思えるんだよ、竹林達ってな」
「それは誤解だけれど」
「まあ中森はな」
 揚巻をやるその彼女についてもふと思う正道だった。
「最近明日夢とやけに怪しいけれどな」
「怪しいかしら」
「本当にレズじゃねえよな」
 顔を顰めさせて言うのだった。
 
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