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ある晴れた日に

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144部分:妙なる調和その十六


妙なる調和その十六

「この辺り。そうだったよね」
「ええ、そうよ」
 彼の言葉に茜が答えた。
「本当に騒ぎだったから」
「その時も三人一緒だったけれどね」
 恵美はここでその茜と明日夢を見た。
「おかげで怖くなかったけれど」
「私達だってそうだったわよ」
 対抗するように奈々瀬が恵美に言ってきた。
「六人でね。やっぱり」
「まあ集まっている方が安全だよな」
 佐々もそれについては納得していた。
「誰が出て来ても一人よりはずっと安心だよ」
「あれ、そういえば今はあいついねえな」
 野本はまたスパゲティをテーブルの真ん中から取り寄せながら咲達に問うた。
「竹林。どうしたんだよ」
「未晴は今ちょっと用事があって」
 咲が彼の問いに答えた。彼女もスパゲティをまた食べだしている。とりあえず皆話が深刻なものでなくなったらまた食べだしていた。
「それで今はいないのよ」
「それでか」
「そういうこと。そんなこともあるわよ」
「まあそうだな」
 それで納得する野本だった。
「けれどよ。何か」
「どうしたの?」
「いや、いつも六人じゃねえか」
 あらためて五人を見ながら言うのだった。
「それで一人いないとどうもな」
「ああ、それあるよな」
「確かにな」
 男組は彼の今の言葉を聞いて続くようにして頷きだした。
「一人いないと雰囲気も全然違うっていうか」
「特に竹林いないとかなり違うよな」
「だよな」
「そういえば確かにね」
「私達って未晴あってのところ大きいし」
 凛にしろ静華にしろそれは認めた。
「未晴いないとまとまらないっていうか」
「お母さんいない感じ?」
「竹林はおめえ等のおかんなのかよ」
 佐々はカウンターから呆れた声を出してきた。
「まあ言われてみりゃそのポジションだけれどな」
「おい、ガキ共」
 坪本が調子に乗って五人に対して言う。
「それでおかんは今家かよ」
「そうよ。ほら」
 奈々瀬はここで自分の携帯を出して彼に見せてきた。そこにはメールでの応対が出ていた。見ればその文の最後に未晴の名前があった。
「今家にいるってちゃんとあるわよ」
「あっ、マジだ」
「確かにな」
「正直未晴って真面目だしな」
 今度は春華が言った。
「何でも備えあれば憂いなしで持ってるしよ」
「そうなのよね。気も利くし」
 中でもかなり世話になっている咲が述べてきた。
「本当に困った時には未晴なのよ」
「けれどあんた達ちょっと頼り過ぎだけれどね」
「ちょっとどころじゃないし」
 明日夢と茜がそんな五人に対して言ってきた。
「はっきり言って」
「幾ら付き合いが深いって言ってもね」
「まあそれはね」
「ちょっとね」
「悪いとは思ってるさ」
 五人もこの突込みには弱って元気をなくしてしまった。
「けれど。まあ」
「私達だって未晴が困った時にはね。やっぱり」
「だといいけれどね」
「確かに未晴いい奴だけれど」
「おめえ等の中じゃあれだな」
 佐々は今度は明日夢達に対して言ってきた。
 
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