人形館の恐怖
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第四章
「よくあるお話ですわね」
「ほんまにそやね」
人形はもう一体いた、こちらはエルフの男の貴族だ。その人形を火球の術で一撃で倒してからズーに応えた。
「こっちの世界でも」
「ここまでアンデットが多いと」
「退治しとかなあかんね」
「その後で除霊をして」
そしてと言うのだった。
「後始末もですわ」
「せんとあかんね」
「いい洋館ですのに」
ズーはこの言葉はやや残念そうに述べた。
「そこがどうにもですわね」
「残念やね」
「まことに」
こうしたことを話しながらだ、二人はアンデットモンスターで満ちている洋館の中を進んでいった。食堂に入ると大きな長方形で多くの椅子が並んでいるテーブルの上に見事な馳走や酒が用意されているが全て造るものであった、洋館にいる鼠達も馳走の傍をただ歩いているだけであるのもその証だった。
ズーはその見事なフランス料理を見てやれやれといった顔で言った。
「折角のご馳走もですわ」
「造りものやとね」
「意味がありませんわね」
「そやね、食品サンプルとしてよくても」
それでもとだ、チュットも述べた。
「食べられへんとね」
「仕方ないですわ」
「ほんめにそやね」
「ええ、しかし」
また言うズーだった。
「この館の主は何故ここまで生の気配を避けたのか」
「そこが気になるね」
「ええ、若しかして」
ここでこうもだ、ズーは言った。
「主のお部屋に行けば」
「魂が残ってるやろか」
「そうかも知れませんし」
それでと言うのだった。
「ここは」
「主のお部屋にですわね」
「行きましょう」
「ほな」
二人で話してだ、そしてだった。
洋館の中を歩き回り主の部屋を探した、そうしてだた。
二人は遂に主の部屋に着いた、するとそこは。
赤絨毯の広い部屋で調度品も品があった、特に白い絹の天幕付きのベッドが目立つ。だがそのベッドには誰もいなかった。
この部屋も生きているものの気配はなかった、強いて言うならば鼠か虫位であった。だがそれでもだった。
誰かがいた、その誰かが二人に声をかけてきた。
「お客さんか」
「貴方が、ですわね」
ズーはその人を見て言った、見れば立派な服を着た翼人の老人だ。着ている服はベトナムの服である。
「この洋館の主であられた」
「ゴー=ジン=ミンじゃ」
「それが貴方のお名前ですわね」
「そう、そしてこの館の主であった」
「やはりそうですわね」
「ただしのう」
老人の亡霊はさらに言った、何時の間にかベッドの上にその透き通った身体がきている。幽体なのは明らかだ。
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