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快楽を求めて

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第三章

「そして何をするかもな」
「言うまでもないですね」
「そや、そしてな」
「あの人が欲しいというものは」
「ここにあるんやな」
「ですね、じゃあ今から」
 あらためてだ、田中は川端に話した。
「依頼を達成する為にも」
「依頼されたもんが売ってる店にな」
「行きますか」
「そうしよな」
 二人でこうした話をしてだった、川端は田中と共に商人が紹介した店いかがわしい繁華街の中でもとりわけ大きな所謂売春宿に入った。
 すると人間の老婆が出て来て二人に問うた。
「どんな娘をお探しで」
「いや、女の子やなくてな」
 川端は老婆をこの店の主かと内心考えつつ答えた。
「あるものを探してる」
「あるもの?」
「司馬さんに言われてな」
「ああ、あれですか」
 老婆は司馬という名を聞いてすぐに理解した顔になった、そのうえでこう言った。
「あれならありますよ」
「ほなそれを売ってくれるか」
「あれはお金で買うものじゃないんですよ」
「そういえば」
 言われてだ、川端も気付いた。それで田中にも話した。
「わい等お金貰ってへんな」
「お店を紹介されても」
 田中もここで気付いた。
「そうですね」
「そや、こうした場合はな」
「やはりです」
「ものを買う金をな」
「事前に渡してくれますが」
「まして司馬さんはしっかりした人や」
「そうしたことはもう」
 絶対にとだ、田中も答えた。
「僕達にお金を渡してくれて」
「それで行かせてくれるな」
「左様ですね」
「司馬さんはうちの隠れたお得意様でして」 
 老婆は二人にこうも話した。
「内緒ですが」
「わい等みたいな冒険者を送ってか」
「はい、そして」
 そのうえでというのだ。
「ものを買ってくれるか」
「今みたいにか」
「実は当店は地下に闘技場を持っていまして」
「ああ、闘技場で勝つとか」
「賞品として手に入ります」
「それがあの人の欲しいもんか」
「左様です、では今から」
 老婆は二人にあらためて話した。
「闘技場に行かれますか」
「それが依頼やしな」
 断る理由はない、川端は老婆に答えた。
「ほなな」
「それでは」
「では僕も」
 田中もここで言った。
「これから」
「戦ってくれるか」
「仲間ですし」
 それにとだ、田中は川端に微笑んで答えた。
「先輩が好きですから」
「わいがかいな」
「飄々としていてそれでいて気遣いをしてくれて面倒見がいいので」
「わいそんな奴やろか」
「そうですよ、一緒に冒険をしていてわかりました」
 この度の神託のそれでというのだ。 
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