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徒然草

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45部分:四十五.公世の二位


四十五.公世の二位

四十五.公世の二位
 藤原公世二位殿の兄君あられた良寛僧正という方は僧正でもありかつ歌人でもありましたが非常に短気な方であったそうです。
 僧正のお寺には大きな榎の木があったので皆は榎木の僧正と呼んでおりました。僧正はそんな仇名をつけられるとは甚だ心外であると大層御立腹なされその榎の木を全て切らせてしまいました。木を切ったならば切り株が残るのが常でありますが人々はそれを見てきりくいの僧正と仇名しました。すると僧正はさらに怒り狂われてしまい今度は切り株までも掘り起こしてしまいました。すると大きな堀ができてしまいましたのでそれからは僧正の仇名は堀池の僧正となりました。
 笑い話のようでありますがこれは本当にあったお話です。お話を聞く限りはそれ程怒るようなお話ではありません。しかしそれでもこの僧正殿は怒られました。仮にも仏門におられる方でもこうした方がおられるのだと知ると共にやはり滑稽であります。人は心はありますができるだけそれを静かにしていかなければ。そうでなければこのように世間の笑い話になってしまいますし己も何か心が乱れてしまいます。戒めとするべきお話であります。僧正ともなれば随分と高い地位にあられるのですがそれでも。その心を完全に鎮めることは容易ではありません。


公世の二位   完


                   2009・5・31
 
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