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ゴスロリ少女の冒険譚

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第二章

「美味いぜ、食べてみなよ」
「では」
「しかしあんた達わたあめ知らないんだな」
 親父はハンナ達を日本人だと思って不思議そうに述べた。
「お祭りとか来たことねえのか」
「それは」
「まあいいさ、とにかく食ってみな」
 返答に困ったハンナにだ、親父は客が来たのでそちらに向かうことにしてこう言ってだった。実際に客に焼きそばを出した。
 そうしてハンナはコンスタンツェと共にわたあめの店の前に行ってそこでわたあめ二つを注文した、すぐにそのわたあめが二人に渡された。
 白い木綿の塊、大きなそれの様なものが棒に突き刺さっていた。二人にはそう見えた。ハンナはそのわたあめを見つつコンスタンツェに話した。
「木綿そっくりですね」
「本当にそうですね」
 コンスタンツェも同意して頷いた。
「これは」
「そうですね、では」
「これからね」
「食べましょう」
 二人でこう話してだ、ハンナはコンスタンツェと共にわたあめを食べてみた。すると伝説の通りだった。
 食べる前はふわふわだが食べると口の中で瞬く間に溶けてしかも甘さがあった。その甘さが実に優しくて。
 ハンナは美味いと心から言った、それはコンスタンツェも同じで二人ともそれぞれのわたあめをあっという間に食べ終えた。そしてだった。
 食べ終えてからだ、ハンナはコンスタンツェに笑顔で言った。
「伝説通りの美味しさだったわ」
「そうでしたね」
 コンスタンツェも同意して笑顔で頷く。
「わたあめは」
「一度是非食べてみたいと思っていたけれど」
「来日して食べてみて」
「本当に幸せよ、ではね」
「これからですね」
「帰ろうと思ったけれど」
 それがだった、今自分達がいる場所でだ。
 道の左右に並び多くの客達に売られている様々なものを見てだ、ハンナはコンスタンツェに言うのだった。
「ちょっとね」
「ここで、ですか」
「見たことも聞いたこともない食べものや飲みものばかりだから」
「一度ですか」
「食べられて飲めるだけね」
 それだけというのだ。
「いいかしら」
「ですが」
「いいでしょ、折角の機会だから」
 強引に言ってだった、ハンナはわたあめ以外にも日本の出店のものをコンスタンツェと共に飲んで食べた。それは彼女にとっていい経験であり思い出になったが。
 後で実は秘かに護衛についていた日本のガードマン達にしっかり怒られた、しかしハンナはわたあめも他の出店のものの味も忘れなかった。そうして日本のかばんを手にしてそのうえで祖国で日本のそうした料理も紹介した。するとわたあめはこの国で人気のスイーツの一つとなった。王女が愛しているそれとして人気が出た。全てはこの時のお忍びの外出からだった。


ゴスロリ王女の冒険譚   完


                   2019・3・6 
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