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お菓子の家

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第二章

「あんた達は何者だよ」
「旅の冒険者や」
 身分を隠してだ、麻里佳はこう名乗った。
「ちょっとこの森でモンスター退治をしてるんや」
「そうなのかい」
「ここもそこそこ強いモンスターがおるな」
「まあね、けれど爺さんは強いからね」
「それでかいな」
「ここの森のモンスターは何匹いても一人で平気だよ」
 楽に倒せるというのだ。
「全然ね」
「それは強いな」
「そうだろ、とにかくね」
 老婆は二人にさらに話した。
「ここで立ち話も何だし」
「それでかいな」
「お家の中に入ってね」
 そうしてというのだ。
「ちゃんと話そうね」
「ほなな」
 麻里佳も頷いてだった、彼女は亜紀と共にお菓子の家の中に入った。すると魔族の小さな男の子と女の子もいた。麻里佳は二人を見てまた言った。
「ヘンゼルとグレーテルやな」
「そやね、服もそのままやし」
 亜紀も麻里佳の言葉に頷いた。
「童話のな」
「あの子達やな」
「あれっ、僕達の名前知ってるんだ」
「そうなの」
 子供達の方もこう言ってきた。
「どうしてかしら」
「この人達とははじめて会うけれど」
「お約束やからや」
 笑ってだ、麻里佳は子供達に答えた。
「それでや」
「お約束?」
「それでなの」
「そや、とにかくや」
 麻里佳は二人にさらに言った。
「自分等はヘンゼル君とグレーテルちゃんやな」
「うん、ヘンゼル=フンパーディングっていうんだ」
「グレーテル=フンパーディングよ」
 二人はこう名乗った。
「宜しくね」
「名前知ってくれてるしね」
「こっちこそな。ただ」 
 ここでだ、麻里佳は。
 二人の外見、ふっくらとしていて服も奇麗で顔立ちも目の光もしっかりしているのを見てこう言った。
「二人共お婆さんに大事にされてるんやな」
「うん、そうだよ」
「普通にね」
 子供達は麻里佳にすぐに答えた。
「お祖母ちゃんのお家にいつも遊びに来ていて」
「今もだよ」
「お祖母ちゃんとても優しいから」
「こうしてお邪魔してるんだ」
「そうなんやな」
「私は嘘は言わないよ」
 老婆の方も麻里佳に後ろから言ってきた。
「というか人食いって何だい」
「いや、イメージでな」
「そのイメージがわからないよ、私は普通の魔術師だよ」
 女のそれだというのだ。
「これでも昔は大学教授もしていたんだよ」
「へえ、プロフェッサーかいな」
「そうだよ、それでお爺さんは将軍だったんだよ」
「そやってんな」
「スナイパーの部隊を率いて軍功を挙げてね」
「将軍にまでなったんか」
「今はここに隠居してるけれどね」
 それでもというのだ。
「今はそうだよ」
「そうなんやな、いや変なこと言うて御免な」
「わかればいいよ」
 老婆は謝罪した麻里佳と彼女と共にそうした亜紀に笑って返した。 
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