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徒然草

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163部分:百六十三.太衝の


百六十三.太衝の

                百六十三.太衝の
 陰陽道で言う陰暦九月の太衝は太の字の部分に点を打つべきなのか打たないべきなのかそういったことに詳しい人達の間で戦争になったことがあります。盛規入道殿が言うには阿部吉平殿が直筆された占術の本の裏に書かれた記録が近衛家の蔵書に残っていた。そこには点が打ってありました、とのことでした。
 思わぬところに記録や資料というものは残っていますがそれにつけてもこうした些細なことでも思わぬ話になってしまいます。うかうかとはしていられないものです。そこから思わぬ流れにもなってしまいますがそれ以上に今回近衛家から出て来たということは驚くべきことです。近衛家の蔵書は見事なものであることは承知していますがこういった本まで持っているとは思いませんでした。何につけてもそのことに驚いています。ですが今回わかったことは何につけても嬉しいことであります。そしてこうした細かいことでも議論になってしまうのが人というものであります。人というものは些細なことから見えてくるものであります。それはその人の素養までもです。ただ点を入れるとかそういう問題ではありません。そこから見えてくるものなのであります。その見えるものはその人自体です。取るに足るのか足らないのかも見えてきますし他の人もそこから考えていくものであります。ですから気が抜けないものであるということも頭の中に入れておかなければならないでしょう。


太衝の   完


                 2009・10・24
 
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