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邪眼の少女

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第二章

「私達に娘さんを見せて頂けますか」
「そうすればですか」
「そうなった原因がわかるかも知れないので」
 それでというのだ。
「ここはです」
「わかりました」
 村長は雪路の言葉に頷いた、そうしてだった。
 二人を娘の部屋に案内した、すると奇麗な毛と角と目を持っている着物姿のミノタウロスの少女が敷き布団の上に座っていて。
 掛け布団を抱き締めていた、その少女をまじまじと見てだった。
 宮子は村長に話した。
「娘さんはお薬によってです」
「それで、ですか」
「はい、惚れ薬だす」
 宮子はスリックのその顔を鋭くさせて話した。
「それを飲んでです」
「そうしてですか」
「こうなっています」
「よくおわかりですね」
「私は薬剤師だす」
 職業のことはだ、宮子は隠さず述べた。
「だからわかるだす」
「そうですか」
「誰かに惚れ薬を飲まされて」
 そうしてというのだ。
「この状態になっているだすよ」
「そういえば」
 ここでだ、村長は気付いて言った。
「隣の村にミノタウロスの悪ガキがいまして」
「同じ種族のだすか」
「まだ十歳だというのにマセガキで」 
 村長は眉を顰めさせてそのうえで宮子に話した。
「娘に結婚しようと言っています」
「十歳でだすか」
「はい、十七歳の娘に」
「それはえらい年上好きというか」
 十歳で十七歳に求婚とは、とだ。宮子は流石にと思い少し苦笑いになった。それは雪路も同じだった。
「将来がだすな」
「いえ、冗談ではなくです」
 村長はそんな二人に真剣に話した。
「おいとしては困ってまして」
「それでだすか」
「はい、どうせそのマセガキがです」
「どうにかして惚れ薬を手に入れてだすか」
「実は悪ガキですが薬剤師の学校で随分いい成績で」
「おお、それは凄いだすな」
 そう聞いてだ、宮子は今度は目を輝かせて述べた。
「十歳で惚れ薬を調合しただすか」
「それで、です」
 そのうえでというのだ。
「娘にどうにかして飲ませたのでしょうが」
「こうなっただすな」
「おそらく、あのそれで」
 村長はここまで話してだ、宮子達にすがる様にして言ってきた。
「娘は助かりますか」
「大丈夫だす」
 即座にだ、宮子は心配そうな村長に答えた。
「私なら絶対に元通りに治せるだす」
「惚れ薬の効果をなくすですね」
「その薬を調合出来るだす」
 そして娘に飲ませられるというのだ。
「では今から薬を調合する為に」
「薬の材料をですか」
「集めるでごわす、材料は今一杯持っているだすが」
 薬剤師として当然のことだ、回復や治療の薬を調合する為に多くの材料を常に持っているのだ。それでだ。 
 宮子は早速材料を出したがだ、ここで眉を曇らせて村長にこう話した。
「残念ながら材料が一つだけだす」
「ないですか」
「娘さんが飲んだ惚れ薬は特別な惚れ薬だす」
「そうなのですか」
「普通の惚れ薬ではないだす、これは調合が難しいので」 
 そうした惚れ薬で、というのだ。
「中々調合出来ないだすが」
「その惚れ薬を十歳で調合したからですか」
「凄いですね」
 村長が言う悪ガキの薬剤師としての才能にだ、こう言うのだった。 
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