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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第21話:X

エックスからの通信によってシグマが倒されたことにハンターベースは歓喜する者と複雑な表情を浮かべる者達がいた。

当然だとケインは思う。

何しろ自分もシグマが倒されたことに複雑な心境を抱いているのだから。

反乱を起こした者達と親しかった者もいるために、だから素直に喜べない者もいるのだろう。

しかし通信を送ってきたエックスも複雑な心境なのは間違いないだろう。

反乱を起こしたハンターには当然エックスの同僚もいて、ゼロとルインは大破してしまうと言う大きすぎる犠牲が出てしまった。

「戦いは終わりましたけど…小さくない犠牲が出てしまいましたね…Dr.ケイン」

親友のルインが殉職したことを知ったエイリアはとても憔悴していたが、それでも最後まで臨時オペレーターとして働いてくれたことにケインは深く感謝していた。

「うむ、そうじゃな…しかし今はエックス達を迎えに行かねばな。シグマと戦ったのならダメージも深いはずじゃからな」

「はい」

こうしてケインはエイリアとハンター数名を伴ってエックスが送ってきた座標へと急行した。

辿り着いた海岸線ではボロボロのエックスと大破したゼロの姿があり、その姿は朝日に照らされて今にも消えてしまいそうな儚さがあった。

「ゼロ…」

ケインは想像以上のゼロの損傷に言葉を失う。

どれだけの激戦だったのか自分には想像すら出来ない。

「無事だったのねエックス」

言葉が出てこないケインに代わって、この反乱でエックス達をオペレートしていたエイリアがエックスに歩み寄って手を差し伸べた。

「ああ、エイリア…終わったよ…」

彼女の差し伸べた手を縋るように握り、小さな声でエックスは言いながら立ち上がった。

それは平和の訪れを意味する言葉であり、ケインが求めた言葉でもあるのだが。

「……本当にシグマを、倒したのか」

ケインはエックスに恐る恐ると言った感じで尋ねたが、エイリアから非難の視線を受ける。

「Dr.ケイン、今は…」

「良いんだよエイリア…シグマは…ケイン博士にとって大切な存在だったんだ。俺には答えなければならない義務がある…シグマは…俺が倒しました。」

通信越しではどこか実感が湧かなかったが、エックスから面と向かって言われたことにより、ようやく実感を得られたケインは悲しい気持ちが湧き上がった。

だが、この戦いでは自分だけではなく、エックスもエイリアも大切な者を失って大きな犠牲を出してしまった。

犠牲になった者は帰ってこないのは人間もレプリロイドも同じであり、残された者達はそれを受け止めて生きていかねばならない。

「エックス…」

「エイリア…俺は…ルインもゼロも死なせてしまった。俺だけが…生き残ってしまった…」

戦いの間はずっと堪えていた悲しみを吐き出すようにエックスは涙を流した。

ルインの形見であるZXセイバーを握り締めて。

エイリアもそんなエックスの姿に涙を流しながらセイバーを握るエックスの手に自分の手を重ねた。

平和主義の彼のことをルインから聞いていたエイリアは下手な慰めなど逆効果でしかないことが分かっていた。

「お疲れ様…エックス…」

労いの言葉と共に涙を流すエックスにハンカチを差し出す。

付き合いの浅い自分に出来ることはこれくらいだろうと判断したエイリアはせめて時間がエックスの傷付いた心を癒してくれることを願った。

「ありがとう…そして、ごめん…エイリア」

エイリアの優しさに感謝しながらハンカチを受け取ったエックスの姿をケインは無言で見つめていた。

どうか、この取り戻した平和が乱されないことを願いながら。 
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