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許されない罪、救われる心

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79部分:第七話 地獄のはじまりその六


第七話 地獄のはじまりその六

「あの連中、そんなことしてたのかよ」
「何それ、最低」
「とんでもない奴等だよな」
「全くだ」
 そしてその怒りはだ。自然に四人に向かった。話は忽ちのうちに学校中に広がりだ。四人は学校の何処にいても人と擦れ違えばだ。嫌悪に満ちた目で見られるようになった。クラスでの孤立に加えてだ。
 そして部活でもだ。同じ部員達に言われた。
「あんた達が犯人だったのね」
「何も知らない顔してね」
「あんなことしてたの」
「最低ね」
 部室の中で他の部員達に取り囲まれて言われていた。四人は今は小さくなっていた。
「椎葉さんにあそこまでしてどういうつもりなのよ」
「何とか言いなさいよ」
 俯いて黙ってしまっている四人への言葉だ。
「それで平気で部活に来てるわけ?」
「信じられないわ」
「私言ったわね」
 そしてここでだ。皐月が出て来た。その横に神無がいる。俯いている彼女を守るようにしてだ。そのうえで四人に対して言うのであった。
「いじめをしている娘は許さないって」
「はい・・・・・・」
 四人は彼女の怒りに満ちた言葉に頷いて答えた。小さい頷きだった。
「それで退部にさせるって。言ってたわよね」
「はい、そうです」
「確かに言ってました」
「退部よ」
 静かな怒りに満ちた声での宣告だった。
「二度とラクロス部に近付かないことよ」
「さっさと出て行きなさいよ」
「もう来ないでよね」
「私達の前に顔を見せないでよね」
「そんな・・・・・・」 
 退部を告げられてだ。四人は愕然となった。彼女達にとって部活とはだ。もう生活の一部だったのだ。それを失うことになってしまったのだ。
「あの、私達もう」
「その、してません」
「ですから」
「駄目よ」 
 皐月の言葉はいつもと全く違っていた。厳しかった。
「貴女達のしたことは絶対に許されないことだから」
「そんな娘達うちに置いていけないから」
「もう駄目よ」
「出て行ってよね」
 二年生達が次々と告げてきた。
「はい、荷物持ってね」
「ロッカーから名前取って」
「さっさと出て行って」
「もう名簿から名前消しておくから」
 最後に皐月がまた告げてきた。
「ラクロス部には来ないこと」
「来たら許さないからね」
「二度と私達の前に出て来ないで」
「そんな・・・・・・」
 四人は絶望の中に叩き込まれてしまった。もう何も言えなかった。荷物を投げ渡され名前の札も投げ付けられた。そのうえで部室から叩き出されだ。四人は部室の閉じられた扉の前にいた。
「どうしよう」
「そうよね、どうしたらいいの?」
 文月が長月の言葉に問うた。
「私達、これから」
「もう部活できないのよね」
 霜月も俯き沈んだ顔で言う。
「追い出されたから」
「どうするんだよ、うち等」
 長月もまた言ってきた。
「もう学校に居場所は」
「ないって」
「じゃあずっとこのままなの?」
「このまま責められ続けるの?」
「そんなの嫌よ」
「そうよ、絶対に嫌よ」
 文月と霜月は今の自分達の現実を何とか認めまいとした。逃げたかった。だがそれはどうしてもできなくなっていたのであった。
 
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