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長い髭

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第二章

「どうしたらいいかな」
「あの人のお髭のことは」
「自慢だから切る筈もないし」
「伸ばしたままだし」
「そこに何かあるといけないとか」
「どうしたものかな」
 皆であれこれと考えます、その中にはエラガマラスの孫娘のヒラウもいました。エラガマラスは若くして結婚して子供達が出来てその子供達も皆若くして結婚したのでまだ充分戦える歳でも結構大きなお孫さんがいるのです。
 ヒラウは黒いお肌に波がかった髪の毛と大きな黒い目を持つ利発な女の子でした、そのお顔でこう言ったのです。
「じゃあ普段はまとめて隠していればいいじゃない」
「まとめて隠す?」
「お髭をかい?」
「そう、髪の毛だってね」
 ここで自分の長い髪の毛を触りつつ言うのでした。
「束ねて上にまとめてその上に帽子を被ったら短く見えるじゃない」
「ああ、そうだな」
「そういえばそうだな」
「そうすれば長い髪の毛も短く見える」
「それはお髭もか」
「あの人のお髭もか」
「そうだよ、ちゃんと束ねて袋で覆ったら」
 また言うヒラウでした。
「お汁とかもかからないしね」
「短くなってか」
「それで袋にも隠されて」
「汚れもしないか」
「そうなるか」
「お祖父ちゃんもそうすればいいのよ」
 まさにというのです。
「これからはね」
「それもそうか」
「それじゃあ一度あの人に言ってみるか」
「あのお髭を普段は束ねて袋で包む」
「そうすればいいってか」
「そう言ってみよう」
 実際にとです、ヒラウは明るく笑って言いました。
「それにお祖父ちゃん私の言うことなら何でも聞いてくれるし」
「お孫さんは可愛がっているしな」
「それじゃあな」
「ちょっとヒラウ話してくれるか」
「そうしてくれるかい?」
「任せてね」
 ヒラウはパラオの人達ににこりとした笑顔で答えました、こうしてエラガマラス本人にお髭のことがお話されました。
 この時にです、ヒラウはこうも言いました。
「そうしたら普段は汚れないよ」
「短くして袋に包むとか」
「うん、だってお髭が袋に覆われているんだよ」
 そのとても長いお髭がというのです。 
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