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許されない罪、救われる心

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50部分:第五話 エスカレートその六


第五話 エスカレートその六

「いないわ」
「何処に行ったのかしら」
「まさか」
 ここでだ。弥生は不吉なものを感じた。
「椎葉さんこのサイト見たって言ってたわよね」
「そうよ、ブログもね」
「両方ね」
「まずいわよ、それ」
 弥生はここで顔を青くさせた。
「椎葉さんも見たって」
「皆があれこれ言ってるし」
「ひそひそとね」
「傷ついてるなんてものじゃないわよ」
 弥生の顔は青から白になった。
「危ないわ、ちょっと私探してくる」
「何処に行くの?それで」
「探すって」
「いそうなところ。それじゃあ」
 こう話してだった。すぐにクラスを後にする。そのうえで神無を探す。
 そして見つけたのはだ。学校の屋上だった。神無はそこにいて下を見下ろしていた。そのうえで涙を流していたのである。
「ちょっと、椎葉さん」
 弥生はその彼女を見て慌てて声をかけた。
「大丈夫・・・・・・じゃないわよね」
「もう、我慢できない・・・・・・」
 下を向いて泣いていた。そうしながらの言葉だった。
「何で私が。こんな目に」
「ねえ」
 弥生はその彼女の横に来てだ。両肩を左から抱いて問うた。
「これ、誰がやったの?」
「それは」
「言えない?」 
 彼女の顔を覗き込んでさらに問うた。
「どうしても。言えないの?誰かわからないの?」
「御免なさい、それは」
「そう、言えないの」
 何故言えないかまではある程度は察していた。しかし問わなかった。あえてそうして彼女を気遣ったのである。弥生の優しさだ。
「そうなのね」
「うん・・・・・・」
「わかったわ。それでもね」
 しかしだ。ここで弥生は神無に告げた。
「気にしないで、サイトのことは」
「けれど皆」
「言ってるわよね、物凄い勢いで書かれてるし」
 そしてだ。このことも言った。
「もう何十人もね」
「学校の皆が、私を」
「皆じゃないわ」
 弥生はそれは否定した。
「皆じゃないから」
「皆じゃないって。嘘よ」
「いえ、嘘じゃないわ」
 強い顔になっての言葉だった。
「それは違うわ」
「何でそう言えるの?実際に皆私を見てあれこれ言うし。もう避けるし」
「私は違うから」
 自分はというのだ。
「こんなこと許さないから。私は違うから」
「違うの?」
「そう、違うわ」
 また言う弥生だった。
「だから信じて。私はこんなこと絶対にしないから」
「そうなの」
「それに。私だけじゃないから」
 弥生はさらに言った。
「葉月君もいるし」
「あの眼鏡をかけた」
「そうよ、彼もいるし。他にはいない?」
「部長が」
 ラクロス部のだ。皐月のことだ。
 
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