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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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シャンパーニの塔

<カザーブより南西>

潮風が心地よい平原をモンスターの雄叫びが轟く。
毒いもむしにギズモ…
襲い来る敵も強力になって行く…

しかしアルル達も成長著しい!
アルルがメラを唱え、ハツキが憶えたてのバギでとどめを刺す。
敵の数が多ければ、ウルフがギラを唱え蹴散らす。
新メンバーのエコナも、鉄の槍で敵を葬り去って行く。
5人パーティーで、1人何もしないのは何時もと同じ…
それでもエコナの参入でフォワード要員が増え、パーティーバランスが向上した事は喜ぶべき事だ。


「お!?見えて来たでー!アレがシャンパーニの塔や」
カンダタ一味が根城にしている塔…
強い潮風に晒されながらも、威風堂々とそびえ立つその塔に、一行は進入する。


<シャンパーニの塔>

塔の内部は何処からともなく腐敗臭が漂っている。
「この匂い…何?」
アルルは顔を顰め、ハツキはいまにも吐きそうだ。
怪訝な表情で進むリュカは、塔の片隅の部屋で不愉快な物を発見する。

其処には大量の死体が無碍に放置されている場所…
「な、何これ…!」
「何でこんなに死体があるんだ?」

100体は超えているであろう死体の山…
既に白骨化しているものから、腐敗の著しいもの…
先程捨てられた様な死体まである。
死体の7割はロマリアの兵士と思しき恰好だが、残りはどう見ても兵士ではない。
中には衣服を引き裂かれ、レイプされた形跡のある女性の死体や、年端もいかない少女の死体…
「酷い…」

あまりの光景に言葉を失っていると、部屋の奥から人の息づかいが聞こえてくる。
「奥に誰か居る様だ…」
リュカが声のする方へ進み行く。

其処には更に不愉快な事を行っている男が1人いた。
まだ6.7歳の少女を犯す男…
その少女も今は息がない…
だが、つい先刻まで生きていたのであろう…

多くの男に犯され息絶えた少女を、ここに捨てに来た…そしてこれで最後とばかりに欲望を少女の死体へぶつけている…この男のしているのは、そんなとこだろう!
「いい加減にしろ!」
リュカが男の脇腹に強烈な蹴りを入れる!
「ぐはぁ!」
大量の血と共にその日の食事を全て吐き出し男が唸る。
「な、何だ…デメ~!?」

「うるさい!貴様に名乗る名前はない!カンダタはこの上に居るのか!?」
「へへへ…お前等もロマリアに頼まれた連中か…サッサと上に行ってぶっ殺されてこいよ!そっちの女3人も犯されまくって死体になったら俺が抱いてやるぜ!」
リュカは徐に男の頭を鷲掴みにすると、そのまま力を込めてゆく!
「うぎゃぁぁぁぁぁ!」
(ぐしゃ!)
腐ったリンゴを握り潰すかの様に、リュカは男の頭を握り潰した!
そしてリュカは黙って歩き出す。
アルル達は慌ててリュカに続く。
リュカの怒りが伝わってくる為、無言のままついて行く。


塔を上へ進む中、カンダタの子分達がリュカを見つけ襲いかかってくる。
アルル達は素早く臨戦態勢をとろうとするが、剣を抜く間もなくリュカが敵を蹴散らし、戦闘が終了する。
目の前で目撃しても、リュカが何をしたのか分からない程一瞬で…
《何なのこの強さ…強いとは思っていたけどこれ程とは…》
アルルだけではない…他の3人もリュカの強さに驚かされるばかりだ…


最上階へ着いたリュカ達は、まさに歪んだ欲望の宴を目撃する…
2人の女性を15人が代わる代わる犯しているところだ!
「あ゛?何だテメー!何処から入って…ぐはっ!」

15人いた裸のブ男達は一瞬でこの世から消え去り、奥の部屋からカンダタらしき大男が姿を現す。
「な、何だこりゃ!?どういう事だ!」
「お前がカンダタか?」
「そう言うテメーは誰だ!?」
「そんな事どうでもいい…金の冠を返せ!そうしたら一瞬で殺してやる!」
室内の状況を見定めたカンダタは、慌てて奥の部屋に引き戻りドアに鍵をかける。
リュカは勢い良くドアにタックルするも、意外に丈夫でなかなか突破できない!
「リュカさん退いて!」
ウルフがリュカに退く様に指示する。
「イオ」
そしてドアに向けイオを唱えた!
(ドカーン!)
ドアは吹き飛びリュカが突入する!

まず正面に見えたのは、窓の外で両手を縛られ宙吊りになる裸の女性…
その女性の頭には金の冠…
女性の両手を縛り吊すロープは、室内を通って部屋の反対側の窓辺に立つカンダタの手に…
「おっと!俺様はキメラの翼を使って逃げさせてもらう!俺の事より、女を気にした方が利口だ!じゃぁな!」
そこまで言うとロープから手を放しキメラの翼で飛んで行く…
女性は支えを失ったロープごと地上に落下し始める!
慌ててロープを掴むリュカ!
「くっ!何てヤローだ!」
女性は2メートル程落下したが、リュカのおかげで大事は免れた。




ひとまずは女性達に衣服とキメラの翼を渡し、各々先に帰らせた。
「カンダタ…逃がしちゃったね…」
「でも、金の冠は取り戻したわ!これでロマリア王に報告できるわよ」
アルルは出来る限り明るい口調でみんなに話しかける。
しかしリュカは、一人静かにカンダタの逃げた空を見つめ物思いに耽る。

アルルもハツキもエコナも…何を話しかけていいのか分からない…
でも、何時ものリュカに戻ってほしく、全てをウルフに押し付ける!
《な、何で俺なんだよ…》
「な、なぁリュカさん…俺…リュカさんが怒るの初めて見たけど…1階に居た女の子とは知り合いなの?」
振り返ったリュカの表情は何時もの優しいリュカだった。
「僕にもあのくらいの歳の娘が居るんだ…とっても可愛いんだよ」
優しくウルフの頭を撫でるリュカ。
自分の娘と重ねてしまい、激怒する姿を見た少女達…
その底知れぬ優しさに、更に恋心を深めて行く。
悪循環であるにも拘わらず…



 
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