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許されない罪、救われる心

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28部分:第三話 歪んでいく心その六


第三話 歪んでいく心その六

「本当に幾らでもね」
「じゃあネットに書いて」
「それと教科書に落書きね」 
 文月と霜月はまずはこの二つを言った。
「それでいけばいいね」
「確かにね」
「じゃあ暫くそういうのでいくか」
 長月もここで頷いた。
「そうした隠れるのでな」
「そうよ。それで部長や弥生達が警戒を解いたらね」
「また派手にやるのね」
「そうするのね」
「そうよ、やってやるわ」
 如月はこう話すのだった。
「それでいいわよね」
「ええ、そうね」
「それじゃあね」
 文月と霜月が醜い笑顔で応える。そうしてであった。
 長月がいじめとは違うことを言ってきた。
「そういえばな」
「どうしたの?」
「クラスにまた転校生来るんだってな」
 こう三人に話すのだった。
「何でもな」
「ああ、また来るの」
「うちのクラスに」
「そうらしいぜ。今度は男らしいな」
 長月は三人に対して話す。
「また椎葉みたいな奴じゃねえかな」
「どうかしらね。見てみないとわからないわね」
 如月は長月に対してこう返した。
「まあ気にしなくていいじゃない。男だったら」
「格好いいのだったらいいけれどね」
「それか頭がいいかね」
 文月と霜月は笑いながら話した。
「そういうのだったらいいけれどね」
「ヲタクだったらちょっとね」
「ヲタクって最近多いしな」 
 長月も笑いながら話す。
「室生にしても結構ヲタクに見えるしな」
「ああ、そういえばそうね」 
 如月は長月のその言葉に頷いた。
「けれど中身は結構熱いのよね」
「だよなあ。文科系なのにな」
 長月はここで首を捻った。
「あれでな」
「そうそう、喧嘩は強そうじゃないけれどね」
「それでもね」
 文月と霜月も話す。
「あれでかなりね」
「熱いからね」
「外見じゃわからないからね」
 如月は葉月のことを頭の中で考えながら述べた。
「だからあいつは要注意」
「そうなるよな」
 長月は如月のその言葉に頷いて応えた。
「弥生もなあ」
「そうよね」
「結構見つかったらやばい奴多いし」
 文月と霜月は長月のその言葉にも頷いて述べた。
「そこは気をつけないとね」
「面倒なことになるし」
「弥生が一番厄介よ」
 如月はとりわけ彼女のことを気にしていた。
「あの娘鋭いし。口うるさいところがあるから」
「こっちにとっちゃ鬱陶しい話だよな」
 長月は今度はうんざりとした顔になっていた。そのうえでの言葉であった。
「あいつがむかつくのが悪いってのによ」
「全くよ。あんな嫌な奴いないわよ」
 如月の顔がここで歪んだ。だが彼女自身はそのことに気付いてはいない。
「頭がいいことを鼻にかけて。部活でも部長に取り入ってね」
「全く。転校生の癖にね」
「全然遠慮ないし」
 文月も霜月もであった。自分達の誤解には気付いていなかった。誤解は時として確信となる。だがそれは誤った確信でしかないのだがそれに気付かないのだ。
 
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