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女だけの浮島で

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第二章

「性別に合わせてそれぞれの浮島に送られてでおじゃるな」
「育てられて、ですね」
「三ヶ月ごとにそれぞれの浮島で行われるお互いの見合いの祭りで相手を見付けてでおじゃる」
「結婚しますね」
「そうした風習でおじゃるが」
「そのお祭りが三日後でんな」
「ではその祭りを観るでおじゃる」
 こう夏目に話した。
「そしてでおじゃる」
「神託を探しつつそうしましょか」
「その前に神託があれば解決するでおじゃる」
「それがええですな」
「中原殿もそう思われるでおじゃるなら」
「ならば」
 二人は今は祀りよりも神託を優先させることにした、そうして島の状況を隅から隅まで術も使って調べていったが。
 ふとだ、観光客達の中に胡散臭い者達がいることに気付いた。
「何時狙うかだな」
「やっぱり祭りの時だな」
「あの時にこっそりとな」
「奪い取るのがいいな」
「祭りの時島の女と男の島の連中は洞窟に入る」
「その時祭壇は空になるみたいだ」
「だったらな」
 まさにとだ、ある宿の中でこそこそと話している者達がいた。
「祭りの最後の時だな」
「二つの浮島の連中が洞窟に入った時だ」
「その時が狙い目だ」
「女神像奪い取ってな」
「高く売り飛ばそうぜ」
 そんな話をしていた、夏目は島中に飛ばしていた己の式神昼は鳩夜は蝙蝠に化けさせていたそれが聞いた声を自分も聞いてだった。
 そしてだ、自分達の宿で中原に話した。
「この通りでおじゃるよ」
「ほう、ではですね」
「麿達としてはでおじゃる」
「悪事は見過ごせませんで」
 まさにとだ、中原は夏目に言葉を返した。
「ほんまに」
「では、でおじゃるな」
「祭りがたけなわになり」
「祭壇が空になったらでおじゃる」
「まあ祭壇も戸締りはするでしょうが」
「それなり以上に腕がいい賊ならでおじゃる」
「普通に忍び込めますからね」
 二人もこのことはわかっている、自分達の仲間にも軍勢にもシーフやその系統の職業の者が多いからである。
「かなりの腕の者であっても」
「だからでおじゃる」
「それで、ですね」
「祭壇に賊達が来たらでおじゃる」
「その時は」
「一気に成敗でおじゃる」 
 夏目は中原に確かな声で答えた。
「そうするでおじゃる」
「そうしますか」
「ただ、事前にでおじゃる」
 ここでだ、夏目は中原にあらためて話した。二人は今自分達の南国のタヒチ等によくある感じの海の上にある木製の宿の中にいる。そこで甘い果物達を楽しみつつ話しているのだ。
「このことはでおじゃる」
「浮島の人達にお話した方がいいですで」
「そうでおじゃるよ、丁度結婚した人達の浮島から長老が来ているでおじゃる」
「男女共に」
「その人達に麿達の素性を明かしてでおじゃる」
 そのうえでというのだ。
「賊に対するでおじゃる」
「では」
「今から長老さん達のところに行くでおじゃる」
 こうしてだった、夏目は中原と共にだった。 
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