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悪徳商人の誇り

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第一章

               悪徳商人の誇り
 司馬雅と壷井鈴子は雅の神託の試練の場所であるベトナムのハノイに来ていた、二人はハノイに着くとまずだった。
 雅の提案でベトナム料理の店に入った、だがここで二人共出されたベトナム料理を見て目を瞠ることになった。
 ステーキ、ハンバーガー、包を思わせるものが生春巻きや炒飯、野菜が多く入った米粉や野菜を炒めたものと共に出て来た、それでた。
 雅も呻ってだ、こう言った。
「私達の起きている世界でのことですが」
「ベトナムは多くの国と戦ってきましたね」
「はい、第二次世界大戦の後から」
「所謂インドシナ戦争ですね」
「フランス、アメリカ、中国と戦いました」
 しかもどの国に対しても勝利を収めている。
「そしてその中で」
「料理文化も取り入れていますね」
「流石と言うべきか」
「逞しさと柔軟さを感じますね」
「全くです、そして」
「そしてですね」
「多く注文し過ぎましたね」
 雅はこのことには少し苦笑いになって述べた。
「これは」
「はい、後でデザートのお菓子もきますし」
「残さず食べられるかどうか」
「それが疑問ですね」
「ですが努力してですね」
「食べましょう、では乾杯です」
 二人でベトナムの地酒、オンザロックにしてあるその盃を打ち合わせてだった。そのうえで飲みはじめた。
 結局二人はデザートまで全て食べた、だが鈴子は店を出た時に雅の豊かな胸を見て羨ましそうに言った。
「先輩の胸ですが」
「大きいとですか」
「思いました」
「いえ、それはです」
 雅も鈴子の山伏の服の上からでもわかるそれを見て述べた。
「中々」
「それはいいと思っていますが」
「わたしは、ですか」
「もう爆乳と言っていいです」
 そこまでの大きさだというのだ。
「起きた世界でもですし、ひょっとして」
「食べた栄養が、ですか」
「胸にいっていませんか?」
 雅にかなり真剣に尋ねた。
「ひょっとして」
「それは幾ら何でも」
「気のせいですか」
「そうです、それは有り得ないです」
 食べたものの栄養が全て胸にいくことはというのだ。
「身体全体に行き渡ります」
「それはわかっているつもりですが」
「私の胸を見るとですか」
「そう思ってしまいます」
 ついついというのだ。
「お酒も強いですし」
「それはその」 
 見れば鈴子は目に結構な酔いが出ているが雅はそれ程でもない、二人共ベトナムの強い地酒をかなり飲んだがだ。
「元々の体質で」
「お酒に強いんですね」
「はい、祖父も父も強く」
「先輩もですか」
「遺伝ですね、静岡は海の幸とお蕎麦がいいので」
「そうしたものを肴にしてですね」
「飲んでいますから」
 その中で鍛えられたというのだ。
「未成年ですが時折飲んでいました」
「それでお強いですか」
「こちらの世界でもそうですね、それでなのですが」
「私も気付いています」
 鈴子は雅にどうかという声で述べた。
「いやらしい視線を」
「はい、あの」
 ここでだ、雅は。
 鈴子と共に自分達をいやらしい目で観ているオークの男に声をかけた。見れば食堂の外の席で大量のものを貪りながらいやらしい目をしている。 
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