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許されない罪、救われる心

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159部分:第十四話 戻ってきたものその十一


第十四話 戻ってきたものその十一

 その罵声の嵐の中を進んでだ。先に行くとだった。
 罵声はさらに酷いものになる。しかしだった。
 それでも先に進んでだ。教室に向かうのであった。
 葉月はこの時教室にいた。そこからクラスの窓のところに集まり罵声を浴びせているクラスメイト達を見ていた。彼は自分の席にいた。
 そのうえで見ているとだった。彼は言うのだった。
「やっぱり。これは」
 ただひたすら糾弾し罵声を浴びせかける彼等を見てあることを感じた。そうしてだった。
 意を決した顔で頷いた。一人でだった。
 岩清水達は四人を取り囲んだ。そのうえでだった。
 ここでも携帯を取り出してだ。四人の過去を見せるのだった。
「皆、こんなこと許せないよね!」
「許せるか!」
「ふざけるな!」
「最低ね!」
「そう、最低だよ」
 まさにその通りだとだ。岩清水は定義付けるのだった。
「こんなこと許せるかな」
「絶対に許せない!」
「何があってもな!」
「こんな連中何で学校に来るんだ!」
「辞めろ!」
「帰れ!」
「そう、学校に来たらいけないよ」
 まさにそうだというのだった。そしてだ。 
 四人が下駄箱のところに来るとだった。その下駄箱は。
 前以上に荒らされていた。下駄箱の扉は殴って壊されそのうえで落書きがされてだ。中も外も酷いものになっていた。そんな有様だった。
 だが四人と一緒にいる弥生はだ。こう彼女達に言うのだった。
「靴はね」
「靴は?」
「それは」
「用意しておいたから」
 こう彼女達に言うのだった。
「ちゃんとね。あるから」
「あるの」
「そうなの」
「はい、これ」
 こう言ってだった。あるものを出してきた。それはだった。
 靴だった。上履きを出してきた。それは四足あった。鞄から出してきたのである。
「こんな状況だから」
「用意してくれたの」
「そうだったのね」
「ええ、そうなの」
 その通りだというのだった。
「それはね」
「有り難う」
 如月が最初に言った。
「こんなことまで」
「行こう」
 また如月に話した。
「それじゃあ」
「うん」
 如月も三人も頷いてだった。そのうえで弥生が出してきた靴を履き岩清水たちを振り切るようにしてクラスに向かった。するとだった。
 岩清水達は先回りしていた。そのうえで四人を取り囲もうとする。しかしだった。 
 葉月は彼等が動き出す前にだ。クラスに入って来た如月達を出迎えてだ。そうしてそれからこう彼女達に言うのだった。
「おかえり」
「えっ・・・・・・」
「おかえりって」
「そうだよ。おかえり」
 微笑んでだ。彼女達に言ったのである。
「よく帰ってきたね」
「出迎えてくれるの?」
「それ以外に見えるかな」
 その微笑みはそのままだった。104
「その他には」
「じゃあ本当に」
「私達を」
「過去は過去だよ」 
 そしてだった。葉月はこうも言ったのだった。
「大切なのは今だよ」
「今・・・・・・」
「そしてこれからだよ。だからね」
「ええ・・・・・・」
「おかえり」 
 また微笑んでの言葉だった。
「よく帰ってきてくれたね」
「うん・・・・・・」
 如月は葉月のその言葉にもこくりと頷いたのだった。そしてだった。
「さあ、自分の席に着いて」
「行きましょう」
 弥生も声をかけてきた。
「そこにね」
「勿論君達もね」
 葉月は長月達三人にも声をかけた。
「行こう、席にね」
「あ、ああ」
「じゃあ」
「私達の席に」
 こうしてだった。彼女達は自分達の席に向かった。だがその机も椅子も落書きがこれでもかと為されゴミも撒き散らされていた。しかし。
 弥生と葉月はだ。まずゴミを払ってだ。それからだった。
 ベンゼンと布を出してそれで落書きを拭き取ってだ。あらためて彼女達に言った。
「大丈夫だからね」
「安心して」
「そこまでしてくれなくても」
「それ位私達が」
「するから」
「そうするの?」
 弥生は彼女達の言葉を受けて応えた。
「如月達が」
「自分の席だし」
「だから」
「するわ」
 こう言ってだった。弥生達からその布を受け取って自分達でするのだった。そうしてそのうえで自分達の席に着いたのだった。
 だがその彼女達にだ。岩清水はまだ仕掛けた。
「絶対に許したらいけないよ」
「こんな連中何があっても」
「許してたまるものですか」
「これで終わりじゃないからな」
「見てなさいよ」
 四人を取り囲んで言う。しかしだった。
 弥生は彼等と如月達の間に入った。無言でだ。
 そして岩清水を見据えるのだった。もう引くつもりはなかった。


第十四話   完


                 2010・10・14
 
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